研究課題/領域番号 |
23K02637
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 日本薬科大学 |
研究代表者 |
村井 保之 日本薬科大学, 薬学部, 教授 (30373054)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 視覚障碍者 / 深層学習 / 歩行支援 / 歩行者検出 / AI |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、視覚障害者の安全な歩行を支援するためのナビゲーションシステムを開発することを目指している。カメラで撮影した画像から歩行可能領域を検出し、歩行環境地図を作成し、音声やジェスチャなどで歩行を支援する。初年度は、歩行者を認識して歩行可能領域を検出するプログラムを作成しその有効性を実証する。次年度は、人数と歩行速度の関連性を考慮した多様な条件下でのシミュレーションを行う。最終年度は、前年度までの成果を基に、音声やジェスチャを用いたユーザインタフェースを備えスマートフォンなどの小型機器で利用できる視覚障害者に利用しやすいナビゲーションシステムを開発する。
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研究実績の概要 |
提案する人認識による視覚障害者向け歩行領域ナビゲーションは、晴眼者が歩行している領域が安全性を確保されているという前提に基づく。これにより、歩行者を強力なセンサーとして活用し、停車中の車や突発的な工事など多様な状況に対応できるシステムを目指している。本システムでは、安全に歩行できる領域を「歩行可能領域」と定義しする。深層学習を用いて歩行者を認識し、歩行者に基づいて歩行可能領域を生成、その領域に基づいてナビゲーションを行う。これにより、障害物検知などの複雑な環境把握をする必要がなく、リアルタイム性に優れたナビゲーションを実現する。この研究は、視覚障害者が安全に歩行できるよう、最新の技術を駆使したナビゲーションシステムの開発を目指している。 研究計画は、令和5年度「歩行可能領域を生成するプログラム」、令和6年度「歩行環境地図の作成」、令和7年度「歩行領域ナビゲーションシステムへの展開」としている。 本年度は、研究計画の「歩行可能領域を生成するプログラム」作成を目指した。具体的には、身に着けた小型カメラ(Luxonis社のカメラとAIプロセッサで構成されたOAK)を使用して、利用者の移動方向を撮影し、撮影された映像から学習済みAIを用いて周囲の歩行者を検出した。検出した歩行者から安全に歩行できる領域を特定するため、利用者と同じ進行方向の歩行者の位置を「歩行可能領域」とし、利用者に向かって来る歩行者の位置を「歩行不能領域」と定義した。歩行可能領域をより正確に求めるために、歩行者との距離を求める必要があると判断し、利用者と歩行者との距離計測にレーザー光を用いて対象物までの距離や対象物の形状を計測する技術であるLiDARの使用を検討した。これらに基づき、プロトタイプシステムを作成し実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
AIカメラと学習済みを用いて利用者の進行方向の画像から歩行者を検出し「歩行可能領域」と「歩行不能領域」を定義するシステムの試作行っている。試作したシステムは開発者によるテストを行い有効性が確認できた。また、歩行可能領域をより正確に求めるためにLiDARが有効であるか、本システムで利用可能であるかの検討も行っている。研究の経過は国内学会と国際学会で発表を行なった。全体として概ね計画通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本年度の成果を基に「歩行環境地図の作成」を目指す。本年度の研究で、提案する人認識(歩行者検出)と歩行可能領域が定義できたので、次の段階として、歩行領域ナビゲーションのため歩行環境地図を作成する。その際,歩行者の人数によって歩行可能領域がどのように生成されるのかを、計算機シミュレーションと実際の環境とで対比させながら実験を行う。歩行者の人数が一定以下の場合、歩行可能領域の生成効率が悪くて安全性の低い歩行環境地図になると予想されるが、歩行環境地図の作成に必要な人数と各人の歩行速度との関連性も含めて、多様な条件の下でのシミュレーションを行う予定である。人数が多い場合は歩行可能領域の判定も複雑になるので、精度の高い歩行環境地図にするためには適当に人数を絞る方が良い。この場合、歩行者の人数と各人の歩行速度がどのような場合に最も効率よく歩行環境地図が作成できるかを検討する。そのために、多種多様な計算機シミュレーションと、そのシミュレーションを基にした実際の視覚障害者によるナビゲーション実験を行う予定である。
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