研究課題/領域番号 |
23K02646
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 関西外国語大学 |
研究代表者 |
卯木 輝彦 関西外国語大学, 外国語学部, 教授 (10963382)
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研究分担者 |
永岡 慶三 早稲田大学, 人間科学学術院, 名誉教授 (90127382)
谷田貝 雅典 共立女子大学, 文芸学部, 教授 (70469485)
米谷 雄介 香川大学, 情報化推進統合拠点, 准教授 (00735144)
大岩 秀紀 関西外国語大学, 外国語学部, 教授 (90249673)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | AIアバター / 外国語学習 / エンゲージメント / VR / 学習支援システム / コミュニケーションロボット / バーチャルリアリティ / アバター / 学習環境 |
研究開始時の研究の概要 |
VRヘッドセットを活用した仮想空間内の外国語学習環境において、学習パートナーとして自律して動作するAIアバターの振る舞いにより学習者のエンゲージメントを促進するシステムの開発を行なう。学習者と非言語および言語的コミュニケーションを行うAIアバターの挙動に起因するエンゲージメントの促進要因および減退要因を明らかにするとともに、AIアバターが個々の学習者に適応してエンゲージメントを向上させることが可能なVR語学学習環境を提供する。
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研究実績の概要 |
本研究は、VRを活用した仮想空間内での外国語学習環境において、学習パートナーとして自律して動作をするAIアバターの振る舞いを通して学習者のエンゲージメントを促進するシステムの開発を目的としています。VRを介したAIアバターとのインタラクティブな学習体験を提供することにより、従来の外国語学習方法と比較して学習者の動機づけ、学習参加意欲、記憶の定着などを高める効果が期待できます。また、AIアバターによる非言語的及び言語的な手段を用いたコミュニケーションが学習者のエンゲージメントに及ぼす影響を理解することで、個々の学習者に最適化され、より個別化された学習環境を提供する学習支援システムの開発が可能になります。 2023年度は、AIアバターの初期のプロトタイプの開発と基本的な対話機能の実装を行いました。このアバターは、表情やジェスチャーを含む人の非言語的な反応も模倣するもので、学習者の没入感を深め学習に対するエンゲージメントを高めることが期待できます。システムは、自然言語処理、音声認識、音声合成、生成AI等の既存の最新技術を活用し、学習者からの入力に対してAIアバターが外国語学習として適切な反応ができるように設計を行いました。比較評価を可能とするために、VRヘッドセットを用いたメタバース空間での活用だけでなく、通常のPC画面からの利用を可能とする実装を行いました。 開発した初期のプロトタイプを用いて、小規模なグループでの評価実験を実施した結果、AIアバターの振る舞いがエンゲージメント向上に寄与することを示す初期のデータを収集することができました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画段階においてはAIアバターの動作を決定するAIモデルの開発をフルスクラッチで実施することを予定していましたが、2022年11月のChatGPTの登場により優れたAI技術を容易に利用できるようになりました。この変化を受け、2023年度は研究プロセス全体を加速させることを目的に、ChatGPTを含む既存の生成AI技術を積極的に活用することとし、AIアバターの基本的な振る舞いとエンゲージメント促進効果を評価するためのプロトタイプシステムの開発と初期テストに重点を置き研究を進めました。特に、ChatGPTの高度な対話能力を活用することで、AIアバターが学習者との対話中に柔軟に反応し、自然な会話を行うプロトタイプシステムを実現しました。 外国語学部の大学生を対象にした予備実験では、スペイン語、英語、中国語の初学者を対象に、エッセイライティング、外国語会話、資格試験対策などの学習活動においてAIアバターが学習者と効果的にコミュニケーションを行う様子を確認しました。この実験はAIアバターの行動が学習者のエンゲージメントに与える効果を測定するために計画したもので、実験に協力した学習者による初期的な評価の結果からは多くのポジティブなフィードバックが得られました。この結果も踏まえ、2023年度末より、AIアバターの言語的及び非言語的振る舞いによる学習者への影響に関する形成的評価を進めています。
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今後の研究の推進方策 |
開発したプロトタイプシステムによる初期の評価実験結果からは、VRヘッドセットの長時間使用は疲労感などが高まり、繰り返し学習を必要とする外国語学習には最適ではない可能性が示唆されました。今後はAIアバターの範囲を拡大し、VRヘッドセットを利用した学習環境に加えて、人型コミュニケーションロボットやPC画面上に表示するAIアバターを活用した学習環境の開発を進め、比較評価を実施します。これらにより、各プラットフォームにおける学習者とAIアバターとのインタラクションがエンゲージメントに与える影響を分析し、外国語学習者にとって最も効果的な学習環境を特定します。 また、2024年度は、AIアバターの表現能力を向上させ、学習者の反応に基づいてアバターの応答を個別にカスタマイズ可能なシステムの開発に着手します。これにより、学習者一人一人のニーズに合わせてAIアバターの振る舞いを調整し、より個別化された学習体験が可能なシステムとなります。これらの技術の実装と評価実験を形成的に実施することにより、コミュニケーションロボットを含むAIアバターとのインタラクションが潜在的に持つ学習および教育的価値を引き出すことを目指します。
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