研究課題/領域番号 |
23K02652
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
守屋 誠太郎 筑波技術大学, 産業技術学部, 准教授 (90809310)
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研究分担者 |
飯塚 潤一 筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 教授 (90436288)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 視覚障害 / ユニバーサルミュージアム / 芸術鑑賞 / 触察 / ユニバーサル・ミュージアム |
研究開始時の研究の概要 |
1年目(R5・2023) 〈調査活動〉文献資料調査、美術館・博物館調査、コストに関する調査、アンケート調査 〈実験準備〉鑑賞実験用モデル試作、協力機関の調整 2年目 (R6・2024) 〈実験準備〉鑑賞実験用モデル制作、音声ガイド・解説資料制作 〈実験調査〉鑑賞実験の実施 3年目 (R7・2025) 〈分析調査〉データ分析、考察 〈研究発表〉最終年は、研究成果のまとめと報告を関係学会や誌上にて発表する
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研究実績の概要 |
2023年度は、主に視覚障害者が手で触れて鑑賞する触察鑑賞に関する美術館および博物館の調査や2024年度に予定している実験(鑑賞アンケート)のためのモデル試作を研究計画とした。 博物館調査では、手でみる博物館(盛岡市)への訪問取材を行い、触察時の作品解説に関する工夫や触察の手順に関することなどについて専門機関における実践的な取り組みを調査した。 美術館調査ではユニバーサル・ミュージアム展(岡山市、近江八幡市)へ触察用彫刻作品を出品し、その実施状況や職員の対応の実態を調査した。また、千葉県立美術館と筑波大学の合同企画による触察彫刻展「彫刻に触れるとき展」への作品出品参加およびそれに伴うシンポジウムでの講演を行い、視覚障害者による鑑賞活動の実際や今後の展望についての意見交換を行うなどした。 また、東京国立博物館や東京都美術館の展示における音声ガイドの解説方法などについても参考にすべく、解説内容がどのように構成されているかを調査した。 そして、女子美術大学の立体芸術コースとモデルデータ作成の協力を得て、モデル試作のための彫刻作品3Dデータ作成を行なった。3Dデータ作成においては、iPad Proの立体読み込みカメラの機能および3Dスキャンアプリを使用した。3Dスキャナー単体の専門デバイスではなく、スマートデバイスを用いた展示施設導入のための簡易的手法に向けて試作品作成方法を検討し、準備を進めた。 また、モデルの試作と並行し、2024年度の研究計画にある実験(鑑賞アンケート)のための実施方法の検討を研究分担者と協議し、素案をまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の進捗状況として、調査については専門機関の取材や専門家との意見交換、実施状況の調査などから実験実施に向けて有用な情報や手段などを明らかにすることができたことから、概ね計画に沿って進めることができたと考える。 試作モデルの作成についても、作品の提供協力を得ることができ、多様な素材や形状特徴を持った作品を用いて準備を進めることができた。 一点、研究計画として達成できていない点としては、約30立方センチメートルのプリント出力が可能な3Dプリンターの購入が叶わなかった点である。計画していた導入機種について、メーカーの取り扱いが終了してしまったことで、その代替機種について検討しているが、まだ購入できていない状況である。現状は既存の小型3Dプリンターで試作プリントをして確認しているが、2024年度早期にに代替機種を購入して実験準備を進めていきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度の研究倫理対象となる実験(鑑賞アンケート)では、観賞用3Dプリントモデル作品と解説資料を用いてヒヤリング形式で行う。形状理解の成績や、作品への肯定感などを調査し、分析と考察をまとめることによって、鑑賞による効果を予測するためのデータ作成を行う。また、観賞用モデルと合わせて元となる作品と同じ(もしくはできる限り同じ)素材でテクスチャーを再現した5平方センチメートルの板素材サンプルを用意する。期する効果として、素材サンプルを3D出力した触察用モデルと合わせて展示することで、形と質感の理解が捗り、鑑賞における味わいの効果につながることである。また、解説資料における触り方の指示の必要性を明らかにすることで、音声ガイドや点訳資料の有効的な運用方法という配慮の形を明らかにする。 そのための研究倫理審査の申請および実験準備を現在進めている。
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