研究課題/領域番号 |
23K02664
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
黒河 千恵 順天堂大学, 保健医療学部, 准教授 (20399801)
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研究分担者 |
初田 真知子 順天堂大学, 保健医療学部, 教授 (10364887)
峯村 俊行 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 特任研究員 (80523464)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 放射線治療 / 医療安全 / VR |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、VRを用いることで、最新のがんの放射線治療に対応できる技術力を持ち、安全対策を考えながら治療を実施できる診療放射線技師の養成を目的とする。そのために、VRで放射線治療室を再現し、そこへ(a) 治療装置の内部構造や治療用の放射線を生成する原理、(b) 各部品が治療用放射線へ及ぼす影響、(c) インシデント事例をコンテンツとして取り入れ、治療技術や安全性、装置の原理を体験しながら学べる教材を開発する。
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研究実績の概要 |
がん治療に用いられる放射線治療装置は非常に高額であり、放射線診断用の装置と比較して高いエネルギーの放射線を扱うため、治療室は十分な遮へいや管理が必要となる。そのため、診療放射線学科を有する大学や専門学校において、教育用として治療装置を有しているのは全体の3.7%%程度であり、多くの学生は病院実習での見学時しか装置に触れる機会が無く、臨床での仕事を行う前に十分な教育が行われていないのが現状である。そこで本研究では、治療室をVR(Virtual Reality)にて構築し、放射線治療の疑似体験システムができる環境の開発を目指す。さらに、現実には再現することが不可能な放射線治療におけるインシデント事例や装置の部品故障時に生じる現象も、VRで再現し、治療技術から医療安全まで包括的に学べる体験型教材を作成する。これを学生教育や治療現場のスタッフの生涯教育に利用することで、高い技術力を持って、安全に治療を遂行できる診療放射線技師(以下、技師)や、その他の治療スタッフを多く育成することを目標とする。 当該年度では、放射線治療におけるインシデント事例についての情報収集、ならびに事故原因についての解析を行った。その結果、最も多い事故が照射部位の間違いであり、これは事前のチェックが複数人によって行われていなかったことや、チェックシステム自体(チェック内容や方法など)が不十分であったことが原因であった。これらの根本的な原因として、人員不足やスタッフの経験不足、コミュニケーション不足などが認識された。これらの解析結果をもとに、次年度からのインシデント事例に対する疑似体験システムの内容を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度は、特に医療安全のVRコンテンツを作成するための放射線治療に関するインシデント事例の情報収集と、その原因についての解析を進めることができた。次年度は、解析結果をもとに、コンテンツの内容を作成する予定である。一方、放射線治療室内のVRでの再現や、放射線治療装置の原理についてのコンテンツの作成については、本研究の目的に合致したVR構築のための最適なソフトウェアを決定することができなかったため、進めることができなかった。そのため、全体として、やや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的に合致した拡張性の高いVRソフトウェアを決定し、それを用いて、放射線治療室を再現することを、最優先課題とする。特に、学生が装置の原理を理解しやすくするため、なるべく治療室のリアリティを持たせることを目指し、治療装置は既に3Dモデリングとして市販されているものを用いることを検討する。装置部品の原理を説明するコンテンツについては、これまで研究代表者らが講義を通して作成してきた図や動画を、3Dモデリングされた放射線治療装置で対応する部分とリンクさせ、3次元的に、かつ、直観的に理解しやすいよう作成する。その後、当該年度で得られたインシデント事例の解析結果について、アバターを用いて再現する。患者への危険が及ぶ場面や対応については、実際に病院に勤務する技師(研究協力者)や装置メーカーの助言をもらい、コンテンツの作成へフィードバックする。
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