研究課題/領域番号 |
23K02672
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 京都経済短期大学 |
研究代表者 |
森崎 巧一 京都経済短期大学, 経営情報学科, 教授 (30405724)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 印象評価 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、印象評価と画像解析を用いた、デザイン画像の個性や類似性の客観的分析法の提案と、その分析情報の可視化システムの実現を目的とする。対象としては、企業のロゴ、自治体のマスコットキャラクター等のデザイン画像を取り上げる。まず、デザイン画像に対する印象を調査し、次に、その印象特徴を多変量解析を用いて分析する。そして、デザイン画像は、色解析や周波数解析、図形検出等の画像解析を行う。最後に、以上の分析結果を統合したビジュアルなマッピングデータを作成すると共に、文字や図形、色彩等で分析支援情報を提示し、デザイン画像の個性や類似性の判断が容易に行える、独創性分析支援のための可視化システムを開発する。
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研究実績の概要 |
本研究は、印象評価と画像解析を用いた、デザイン画像の個性や類似性の客観的分析法の提案と、その分析情報の可視化システムの実現を目的とするものである。対象としては、類似性、独創性が問われるものとして、企業のロゴ、自治体のマスコットキャラクター等のデザイン画像を取り上げ、その印象評価を調査し、印象特徴を分析する。また、画像解析を用いてデザイン画像の類似性を分析する。今年度は、デザイン画像の収集と編集、印象語の収集、印象評価アンケート調査などを計画していた。まず、実際に商標登録された企業のロゴやマスコットキャラクターなどのデザイン画像を利用を検討し、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で公開される商標デザイン画像を本研究に利用可能かどうかを独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)に相談した。調べて頂いた結果、特許庁特許情報室から許可を得て研究に活用できる可能性がある助言を受け、現在検討中である。特許庁に登録された商標画像の利用許可が得られるまで、別の方向性(キャラクターデザインの印象評価や画像解析等)から研究を進めていくことにした。印象評価の研究は、先行して進めていた京都のゆるキャラのデザインの印象評価の研究を研究協力者と纏め、論文を発表した。また、研究代表者のゼミナールの卒業研究の中で、一対比較と主座標分析を用いたキャラクターデザインの類似性分析を指導し、一人の学生が卒業論文にそれを纏めた。画像解析の研究は、研究協力者と共に、画像解析ツールやそれを用いた印象評価分析ツールの研究を纏め、それぞれを論文化した。さらに、深層学習を用いたキャラクターデザインの類似画像判定の方法について検討し、開発中の画像解析ツールの内容を学内研究会で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、計画ではデザイン画像の収集と編集、印象語の収集、印象評価アンケート調査であったが、概要に述べたとおり、実際の商標登録されたデザイン画像を本研究に用いるためには特許庁特許情報室から許可を得て利用する必要があるため、印象評価や画像解析の研究をメインに進めていくことになった。 今年度の進捗としては、まず、京都のゆるキャラの印象評価についての研究を進めた。京都のゆるキャラの印象調査では、キャラクターを使用する上で地方自治体等の許可を得ながら実施した。印象調査における印象語は、一般的な形容詞に加え、京言葉も一部取り入れたので、本研究で対象とした若年層に京言葉がどのように認識されているかを分析することもできた。本研究は、科研費申請より少し前から進めていた研究だが、本学の行動経済学の専門家(高阪勇毅准教授)と共同して行い、今年度に論文化した。次に、研究代表者のゼミナールの学生(小林真奈氏(2022年度卒業生))と共に、一対比較と主座標分析を用いたキャラクターデザインの類似性分析の研究を進め、デザイン画像の独自性の分析方法について検討した。分析の結果、本調査で取り上げたキャラクターは、それぞれが個性的になるようにデザインが施されており、ある程度の独自性があることが分かった。そして、画像解析の研究は、本学の情報処理の専門家(小路真木子教授)と共同で数年に渡って研究しているが、今年度はこれまで行ってきた画像解析ツールに関する論文を発表するとともに、新たな画像解析ツールの開発では、深層学習部分にGoogleのTeachable Machineを利用し、任意の画像を判定するプログラムを、インストール不要のWindows用アプリとして作成した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の中で、実際に商標登録された企業のロゴやマスコットキャラクターなどのデザイン画像を利用する場合は、特許庁特許情報室から許可を得て研究に活用する必要があるため、これを申請して画像を活用できるようにする。もしくは、実際に商標登録された画像が利用できない場合を想定し、デザイナー等に依頼し、研究で活用可能なロゴやキャラクターのデザインを作成することも検討する。 研究用の画像の準備と並行し、これまで通り印象評価と画像解析の研究を進めていく。具体的には以下のように研究を進めていくことを検討している。印象評価の研究では、デザイン画像(許可を得た地方自治体のゆるキャラなど)に対する印象について多変量解析を用いて分析し、印象特徴や類似性などを明らかにしていきたい。これまで行ってきた京都のゆるキャラの印象評価の研究は、今後は京都以外の他の地域の人々がどのように感じているか、他の国の人々がどう感じているかなど、被験者を変えて比較分析することも検討している。また、手法としては印象評価法だけでなく、一対比較を用いたデザイン画像の類似性分析についても進めていくことを検討している。画像解析の研究では、これまで開発してきたOpenCV等を用いた画像解析(色解析、シルエット分析、周波数解析、ハフ変換による図形検出等)に、深層学習による画像の類似性分析の機能も本格的に取り入れていく。現在は類似判定にTeachable Machineを利用しているが、他の手法(例えばAugNetなど)によって、より目的に合致した類似度出力ができるようになる可能性もある。また、「似ている画像」が、機械の判断と人間の感覚とで合致しているかどうかを検証することも必要だろう。完成したプログラムについては、より手軽に広く利用してもらうため、Webアプリ版の開発についても検討したい。
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