研究課題/領域番号 |
23K02680
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
伊藤 潤一 千葉大学, 大学院工学研究院, 助教 (70722198)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 児童養護施設 / 住環境 / 建築デザイン / テキスト開発 / リテラシー教育 / 建築計画 / リテラシー |
研究開始時の研究の概要 |
児童養護施設の脱施設化の推進は、ケア規模を小さくするだけでなく、住空間としても家庭的な環境を子ども達に提供し、大切にされる経験をすることで、自己肯定感を育む効果が期待されており、施設建築自体も「施設から家へ」の転換が必要とされている。しかしこれまで、児童養護施設の住空間における建築デザイン分野に特化した調査研究は見当たらない。 そこで本研究では、良好な生活空間を計画・維持管理を実現するための「建築デザインの知見収集」、現場職員のための「建築のリテラシー教育」という課題に取り組む。これにより、「要養護児童の心身を健全に導く住空間を提供する」という社会的要請を応えるものである。
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研究実績の概要 |
児童養護施設における家庭的な環境の提供を考えた時、一般家庭に近い住環境の設え、ケア規模の縮小、それに伴う住空間の小規模化などが国内で推進さてれいる。児童養護施設における住環境では、一般住宅とは異なる要支援児童の個性などを鑑みた、独自のケアに適した住空間の設計が求められる難しさがある。 23年度では、先駆的で独自のユニークな建築計画や建築デザインを行っている施設をピックアップし、ケーススタディを実施した。その上で実際に施設を訪問・視察し、建築計画やデザイン上の工夫、設計プロセスなどを施設関係者へヒアリングし、教育テキスト作成に向けた情報収集を実施した。その一端を以下にまとめる。 まず、近年では増えている中庭をもつ施設計画では、子ども達の遊びの活動や生活の様子が把握しやすく、中庭でのイベント開催などの良さがある。一方で地域から防御的になることや、中庭の大きさや設えなどによっては、管理が困難になる事例が確認できた。次に建築の室内外の材料に、木などの自然素材が積極的に採用されてる施設も増加している。室の居心地の良さ、情緒の安定などへの利点がある一方で、経年変化などへ対応する職員の負担増に対する懸念などの声もあった。設備面では、隠蔽型空調の採用によって、デザイン的には良いものの、故障時や耐用年数を超えた交換時に施設にかかる費用負担の問題を指摘する声が多く聞かれた。特徴的な建築計画や建築デザインがみられる施設では、デザインが得意な設計事務所などがデザイン監修などを行い、設計監理は地元の事情などに詳しい設計事務所が共同で行うなどの事例も見られた。 視察・ヒアリング調査を通して、施設がこれまで行ってきたケアのあり方を踏まえつつも、新たな時代やケアのあり方に対応するため、施設の方針に則った独自性のある建築計画や建築デザインの多様化へ向かっている多くの先駆的な知見が獲得できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内の訪問施設の視察やヒアリング調査はおおむね予定通り実施している。国外施設の訪問と視察・ヒアリングが実施できなかったが、本年度に実施予定である。ホームページ制作の構成やデザインに関する関係者との打ち合わせなどに一部遅れが生じたが、昨年度後半に後れを取り戻しており、現在は概ね予定通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
大きな問題なく順調に研究を進めることができており、今後も当初プランに則り視察調査・ヒアリング調査の継続、知見の情報データの蓄積、ホームページ制作の準備を進める。
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