研究課題/領域番号 |
23K02691
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
渡邉 はるか 目白大学, 人間学部, 准教授 (80635219)
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研究分担者 |
峯村 恒平 目白大学, 人間学部, 専任講師 (50759371)
枝元 香菜子 金沢学院大学, 教育学部, 助教 (70758284)
藤谷 哲 玉川大学, 教育学部, 教授 (90331446)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 若手教員 / トランジション / 離職 / 業務過多 / アイデンティティ / 初任者教員 / 教職実践演習 / 教員養成 / 職業アイデンティティ |
研究開始時の研究の概要 |
「令和の日本型学校教育」を実現し、それを担う質の高い教員を確保するため、養成・採用・研修等の在り方が議論されている。このような中、若手教員の早期離職や病休をはじめとした「大学から教職へのトランジション」の課題が顕在化しており、教員不足が深刻化する現在、円滑なトランジションと職業的アイデンティティの適切な形成は喫緊の課題である。 本研究課題では、①初任者教員の職業的アイデンティティの形成過程を明らかにし、②養成課程における教職実践演習において、円滑なトランジションと職業的アイデンティティ形成を促すプログラムを開発することを目的とする。
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研究実績の概要 |
若手教員の早期離職や病休等の「大学から教職へのトランジション」が課題となっている。正木他(2010)は、学校から社会への移行期にある若者が、職場環境の変化に適応しながら自らのキャリアを切り開くためには、職業的アイデンティティ確立が重要だと指摘している。本研究課題では①初任者教員の職業的アイデンティティの形成過程を明らかにし、②円滑なトランジションと職業的アイデンティティ形成を促す教職実践演習のプログラムを開発することを目的として、研究を進めてきた。2023年度(1年目)は、先行して実施した調査も含めて、アンケート及びインタビュー調査をもとに教職を続ける要因や辞める要因に関して基礎的な情報を収集し、整理した。退職教員を対象としたアンケート調査からは、退職理由として「長時間労働」「業務過多」「精神疾患」「職場環境」「教職への不適応」等の課題が浮き彫りとなり、複数のギャップに直面する中、改善されない環境やサポート不足等が重なり、最終的に離職する様子が明らかとなった。また退職理由とソーシャルサポートの関連について分析した結果、退職理由により、誰からどのようなサポートを受けたかに違いがある可能性が示唆された。全体的には管理職より同僚教員からサポートを受けている様子が伺えた。一方、若手教員を対象としたインタビュー調査からは、同様の困難が抽出されたが、周囲に相談することで適切なソーシャルサポートをうけたり、試行錯誤する中で自分なりのやり方を確立していくことで自信につなげる様子が伺えた。また教職志望学生及び退職教員に対するアンケート調査をもとに「働く中での困難」に関する認識の差を検討したところ、退職教員は労働時間や業務量について記述が多いのに対し、教職志望学生は保護者対応や児童生徒対応などの具体的な業務を想定するに留まっており、教員としての働き方への理解の涵養が課題であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先行して実施してきたインタビュー調査及びアンケート調査の整理・分析を土台として、教職を続ける要因及び離職する要因について、具体化する作業を進めることができた。 また関連学会での発表を通して、これまでに検討してきた退職理由やソーシャルサポートに関するより詳細な分析が必要であることが明らかとなり、あらたにアンケート調査を実施することができた。 退職教員を対象としたインタビュー調査は、実施が遅れているが、2023年度末の時点で、既に協力者を募集しており、今後、実施できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
既に実施した退職教員を対象としたアンケート調査をもとに、インタビュー調査の候補者をリクルーティングし、離職に至った経緯について聞き取りを行い、離職と関連する要因及び適応や継続に関わる要因を明らかにする。あわせて若手教員を対象としたインタビュー調査についても、さらなるデータを得るために、引き続き、調査を実施する。1年目、十分に情報収集することができなかった海外の動向についても調査をすすめる。これらをもとに、仮説モデルを設定し、数理モデルの検証に向けて準備を進めていく。 また最終的に開発を目指す教職実践演習に関して、現状の実態や課題を整理するとともに、先進的な取組事例を収集し、下準備を進めていく。
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