研究課題/領域番号 |
23K02701
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所 |
研究代表者 |
山口 昌也 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 研究系, 准教授 (30302920)
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研究分担者 |
渡部 倫子 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (30379870)
北村 雅則 南山大学, 国際教養学部, 教授 (50455424)
奥野 由紀子 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (80361880)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ピア相互評価 / 教育支援システム / 協同学習 / 評価指針 / ビデオアノテーション |
研究開始時の研究の概要 |
プレゼンテーション練習などのグループでの教育活動では,ビデオを用いた,学習者同士の相互評価が行われている。この際,学習者ごと実技に対する工夫や独自の観点での評価の扱いが難しく,次回の活動の評価指針に反映しづらい,といった問題がある。そこで,本研究では,(1)学習者ごとの評価指針を考慮した協同型教育活動支援システムを実現するとともに,(2)支援システムを用いた3種類の実践プログラムを開発する。
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研究実績の概要 |
本年度の計画は,(a) 実践プログラムの設計: 個人練習,1対1での練習,多対多の練習,といった三つのタイプの活動に対する実践プログラムを作成すること,(b) プロトタイプシステムの設計・実現: 実践プログラムの設計に基づいて,支援システムの設計,および,プロトタイプシステムの実現を行うことである。以下,(a)(b)に関して,本年度の実施内容の詳細を述べる。 (a) 実践プログラムの設計: 実際の設計を行う前に,学習者の活動の「評価」について意見交換を行った。これは,メンバーごとに,これまで行ってきた評価方法が異なるためである。具体的には,(i)実技後のグループ振り返りを考慮した「ゆるやかな」適用基準に基づく評価,(ii)ルーブリックに代表される明確な適用基準に基づく評価に分かれている。意見交換の結果,学習者ごとの評価指針を作り出すプロセスとして,(i)で評価する実践プログラムでは,評価基準を学習者が詳細化していく活動として位置づけ,(ii)では,学習者が実技の観察結果を既存の適用基準に対応付ける活動として位置づけるように設計することにした。 (b) プロトタイプシステムの設計・実現: (a)で学習者ごとの評価指針を作り出すプロセスを設計したが,その活動を支援するシステムを設計した。具体的には,評価指針を木構造で表現し,実技に対する(ビデオ)アノテーション結果を,その木構造にマッピングできるようにする,GUIを持つシステムである。(i)のタイプの評価では木構造を作りつつ,アノテーションをマッピングし,(ii)のタイプの評価では,あらかじめ規定された木構造(ルーブリック)に,アノテーションをマッピングする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究が掲げている二つの目的を対象に進捗状況を示す。 (A) 支援システムを用いた実践プログラムの開発・実践/やや遅れている: 今年度の計画では3タイプの実践プログラムを設計する予定であったが,メンバーごとに評価方法が異なるため,その認識を共有すること優先し,評価指針と学習者の観察結果(ビデオアノテーション結果)との関係を明確にした。したがって,個々の実践プログラムの設計までは到達していない。ただ,設計を行うための準備は行っている。具体的には,実践プログラム中に対象とする教育活動については,当初予定していたディスカッション練習だけでなく,文章の読解にも適用できないか検討している(1件の研究発表を行った)。この際は,アノテーション対象は実技のビデオではなく,文章に対するものとなるため,(A)のプロトタイプを実現する際は,既存のアノテーションシステムとの連携する形にする予定である。 (B) 学習者ごとの評価指針を考慮した協同型教育活動支援システムの実現/やや遅れている: 今年度の計画では設計とプロトタイプの実現を行う予定であったが,プロトタイプの実現までは至らなかった。なお,これらはシステム全体を一度に行うのではなく,段階的に行う予定である。前述のとおり,本年度は,実践プログラムにおける評価指針と,学習者の観察結果(例えば,ビデオアノテーション結果)との関係を明確化し,観察結果と評価指針とをGUIでマッピングするためのシステムを設計した。この部分は,本研究計画におけるシステムの機能として,最も基本的な部分であり,実践プログラムにおいても重要な位置を占める。
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今後の研究の推進方策 |
本研究が掲げている二つの目的を対象に今後の研究の推進方策を示す。 (A) 支援システムを用いた実践プログラムの開発・実践: (1) プロタイプシステムの評価を行い,実践プログラムにどのように組み込むのか,組み込む際に不足している機能はないか,などを検討する。(2) 実践プログラムを作成する。(3) 以下(B)の3でプロトタイプシステムとアノテーションシステムが連携できた段階で,実践プログラムの試行を行う。 (B) 学習者ごとの評価指針を考慮した協同型教育活動支援システムの実現: (1) 観察結果と評価指針とのマッピングを行うシステムのプロトタイプを実現する。(2) 実践プログラムの設計に行う検討(上記Aの1)に基づいて,プロトタイプシステムの改善・機能追加を実施する。(3) プロトタイプシステムをビデオアノテーションシステム(FishWatchr Miniを予定),および,文章へのアノテーション機能を持つシステム(構築中の作文教育支援システムを予定)と連携させる。(4) 実技のビデオや観察結果,評価指針とのマッピング結果をグループでの振り返りなどに活用する方法を考案する(アノテーション結果の視覚化などを予定)。
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