研究課題/領域番号 |
23K02709
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
伊藤 正彦 横浜国立大学, 安全衛生推進機構, 特任教員(准教授) (60862802)
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研究分担者 |
和久井 健司 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 技術職員 (50914628)
小柴 佑介 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 技術専門職員 (60419273)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 化学物質 / 安全教育 / 危険体感 / 自律的管理 / 危険性・有害性 / リスク / 防災 / 教育効果 |
研究開始時の研究の概要 |
化学物質管理に関して,従来からの準則管理では効果が十分ではなかったため,令和4年度より化学物質管理を準則管理から自律的管理へと大きく施策の変更が行われた. 特に,大学では特別則に含まれない多種多様な化学物質を取り扱っているため,リスク低減のために自律的管理が強く求められている.しかし,大学における効果的なリスク低減に資する安全教育プログラムに関する知見はほとんど無い. 本研究は,大学の実験室を対象とした“危険性・有害性”に関する定量・定性的研究を行い,リスクを極小化する自律・実践型教育プログラムの提供により,現在および将来に渡る労働災害の低減策を示すものである.
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研究実績の概要 |
大学では様々な化学物質を使用しており、“危険性”に関する事故事例として地震を起因とした混合危険による火災や、人の不安全行動や不安全状態を起因とした火災がある。また“有害性”に関しても、酸・アルカリ・有機溶剤等との接触による皮膚への腐食や刺激の発生、特に眼に対しては重篤な損傷を与える事故事例が報告されている。 本研究では、主として化学物質の“危険性・有害性”に着目し、現下の大学における化学物質を用いた教育・研究において、 “学生が、自らリスクを極小化するような作業環境・機械運転・作業行動等をとることが出来る”ことを目的とした「自律・実践型教育プログラム」の開発を最終目的とし、本研究の成果として、将来の労働災害の低減に資するという大きな社会的貢献が見込める。 初年度である令和5(2023)年度においては、まず、座学として「化学物質の自律管理」、「化学物質の危険性・有害性とそのリスク低減処置」、「機械安全・作業のリスクアセスメント」等の安全衛生講習会を設計・実施を行った。また合わせて危険体感教育として「化学物質に対する保護具の効果体験」、「酸欠危険体験」、「機械巻き込まれ危険体験」等の危険体感装置の開発・実装を行った。また、作業環境測定・研究室巡視を通じ、作業環境測定評価と薬品保管・取扱等に関する指導を行った。その結果、座学・実習による教育に関してはアンケート評価によりその効果を測定でき、また災害リスクが比較的大きい研究室に対し作業環境測定・研究室巡視を通じて繰り返し教育・指導を行うことにより自律的な改善と管理を促すことができた。さらに、令和5(2023)年度中に報告された大学におけるいくつかのインシデントから、新しい視点に基づくリスク抽出の必要性が認識できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の令和5(2023)年度においては、研究実績の概要で述べたとおり研究題目の基礎的知見を得ることができた。安全衛生講習会・危険体感教育で行った安全教育の効果はアンケートで測定でき、また災害リスクが比較的大きい研究室に対しては、繰り返し教育・指導を行うことにより自律的な改善と管理を促すことができた。さらに、大学におけるいくつかのインシデントに関しそのリスク把握と対策を論文にまとめ、海外学術誌に掲載されるに至った。 以上のことから、研究は当初の計画通りに概ね進捗できたと言える。
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今後の研究の推進方策 |
進捗状況で述べたとおり、令和5(2023)年度は計画どおりに研究を遂行出来た。しかしながら、本研究遂行において、危険体感項目として「粉塵爆発体験」、「静電気火災体験」等は実施していない。これらのインシデントは、必ずしも1種類のリスク事象により発生しうるものでは無く、様々なリスク事象が組み合わさって発生している場合も多く、これらに対する研究はまだ実施していない。このため、総括的な安全衛生教育を実施するため、「多種類リスク事象の組み合わせ状態下におけるリスクの考え方に関する講義とこれらの危険体感装置の開発と実装」を目指し、リスクを自律的に改善・管理が出来る人材育成を計画する。 これらで得られた知見を纏め、学会発表や論文投稿を引き続き行ってゆく予定である。
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