研究課題/領域番号 |
23K02729
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
青木 悠樹 群馬大学, 数理データ科学教育研究センター, 教授 (60514271)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | eラーニング / 教育プラットフォーム / LMS / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では人工知能を用いた「前向き推論」を取り入れることで,運動の規則性を見出すことが難しい二連成バネ運動などの観測から,1)関数同定問題として物理法則を自発的に導き出すための機械学習モデル教材を開発し,高校物理教員を対象としたオンライン教材として実装する。また,2)オンライン教材利用時の学習者の理解度を把握するためのプラットフォームを実装する。
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研究実績の概要 |
本研究は深層学習を用いた物理教材を開発することと,その教材の教育効果を検証することであるが,2023年度は後半部分についての研究を推進した。 本研究の教育効果を検証するシステムとして国立情報学研究所が開発したCoursewareHubを導入し,230人を対象とした教育効果の検証を行なった。ユーザーのログ解析から教育効果を調べるが,CoursewareHubを使うことで,学習者が完成形として残す記録だけでなく,完成形に行き着くまでの途中経過のログも全て残されており,これらの途中経過のログ解析結果を主に用いる。途中経過のログを解析することから,学習者が回答に至るまでの経過を追うことができると考えたためである。途中経過のログとして,最終回答に至るまでに要した時間,また回答結果記述欄である各セルの実行回数を変数として取り扱った。ログ解析システムを導入することで,以下の効果があった。授業時間内においては,リアルタイムで学生全体の進捗状況が把握できたため,授業中に学生全体を制御する必要がなくなり,個別対応に徹することができた。また,授業回ごとの進捗状況が得られるため,ばらつきが可視化され,教育CAPDoサイクルにおけるチェックとして用いることができた。 授業時間外では,最終回答だけでなく,学生が苦労した様子が可視化できるようになった。ログ解析から,他人の回答のコピーや生成AIの使用の有無について判別できるため,教員の目の届かないところでの学生の努力を可視化できたため,今後はこうしたログを成績にどのように反映していくかを検討する必要があると考えている。 上記のログ解析結果について,教育システム情報学会,日本教育工学会,物理学会での発表を行なった。 また深層学習の開発として,transformerを用いた画像解析を行ない,大腸癌を例として取り扱いCNNとの違いを考察し論文発表を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の目標は,二連成バネ運動教材の開発をすることであったが,3年目の実施内容として計画していたCoursewareHubの導入が可能となったため,前半と後半の計画を入れ替えて研究を進めた。 CoursewareHubはクラウドあるいはオンプレミス,どちらの環境でも用いることが可能であるが,大規模授業での長期運用を行うためオンプレミスでの導入を行なった。システムを管理するマネージャーノードは1つ,ユーザー領域となるワーカーノードは1つ設置し,230名の同時アクセスに対してユーザーあたりの保証量はメモリーが0.9GB,CPUは0.27と設定した。2023年度から文部科学省の数理・データサイエンス・AI教育プログラムの応用基礎レベルに認定された「Python入門」という授業科目において運用し検証を行なった。後期の授業で運用を行い,ログ解析から学生の取り組み状況など,従来のJupyterHubでは得られない教育効果を調べることができた。 同時に,多数のユーザーが同時アクセスすることによる,メモリ不足の問題が発生したため,ユーザーあたりのメモリ保証量を0.9GBまで下げなければいけなくなってしまった。機械学習を教材に組み込むためには,ユーザーあたりのメモリを増加する必要があると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は,深層学習を用いた物理教材を開発することと,その教材の教育効果を検証するシステムを開発することであるが,後者から開発を進めている。次年度もCoursewareHubを用いることによるユーザーへの教育効果を調べる検証を引き続き行いたい。また現状ではユーザーあたりのメモリ量が少ないことが問題となっているため,メモリ増設あるいはユーザー数を減らした上で検証を行うことを検討している。得られたログをクラスタ解析からグルーピングすることで,どのようなユーザーがいるのかを自動的にグルーピングできるシステムを構築することで,学習者の理解度や努力が可視化されるLMSのシステムを完成させたい。 同時並行として,機械学習教材の作成に取り掛かる。ユーザーあたりのリソースが限られている中での,適切な機械学習教材を作成する。
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