研究課題/領域番号 |
23K02767
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 北翔大学 |
研究代表者 |
横山 光 北翔大学, 教育文化学部, 教授 (70733707)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 減災教育 / ジオパーク / 主体的な学び / 自然災害 / 自然理解 / 災害時の行動判断 / アウトリーチ |
研究開始時の研究の概要 |
自然災害を軽減する「減災」のためには、備えはもちろんだが、自然についての正しい理解からの正しい判断や行動が必要である。しかし実際には、災害の恐ろしさを伝え行動を促したり、行動マニュアルから学ばせたりするだけで、災害をもたらす自然事象を科学的に学ぶ場面が少ない。 そこで本研究では、大地の成り立ちなどについて学習できる場として近年知られるようになった「ジオパーク」を活用し、学習者が主体的に「自然についての理解」を深めることのできる減災教育プログラムを開発し、実践、検証を行う。さらに、研究の成果をジオパークと共有し、普及フォーラムを開催することで全国的な減災活動に貢献する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、減災教育に取り組もうとしているジオパークの把握と、いくつかのジオパークにおける減災教育の課題や過去の災害事例、そして減災教育の現状について調査を行った。一方で、自然災害を題材とした教育普及イベントへの実験教材開発協力や、情報交流の場の設定などを行い、教材の質向上に努めた。 1. ジオパークにおける減災教育やニーズに関する聞き取り調査および現地調査 Mine秋吉台ジオパーク、萩ジオパーク、栗駒山麓ジオパークに於いて、減災教育に携わるジオパーク担当職員をはじめとしたスタッフに「減災教育への関心」、「過去の災害時例と対応」、「子供や市民を対象に行っている減災教育の実際」、「減災教育プログラム開発のニーズ」などについて聞き取り調査を行った。秋吉台では、過去に大きな災害なほとんど起きておらず、住民の災害に対する減災意識が非常に低いことが課題として示された。萩では、頻繁に水害に見舞われるにも関わらず、土地のつくりや災害発生の仕組みについての住民理解が浅く。自然災害を理解させる教育プログラムの必要性に理解を得ることができた。栗駒山麓では、自然災害に対する関心や減災への取り組み意識が高いことがわかったが、災害と町の歴史などを組み合わせた教育プログラム開発へのニーズが得られた。 2. 自然災害を引き起こす自然現象の仕組みを学ぶ減災プログラムの開発 日本地震学会、日本火山学会、日本地質学会が主催する「地震火山地質こどもサマースクール」では、3Dプリンタを用いた相模湾の海底地形模型を用いた実験プログラム開発に協力した。また、日本火山学会が主催する「全国火山実験研究交流会」にも参画し、全国で行われている火山噴火に関する実験を交流し、市民に普及する場を創設した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は調査予定外ジオパークからの相談もあり、調査予定地のリスト見直しを行ったうえで現地調査に赴いた。現地調査では、ジオパーク運営担当者と実際にガイド活動を行う現地ガイドの双方から、減災教育プログラム作成の課題やニーズを聞き取ることができた。調査地域の中でも具体的な課題やプログラム開発への協力を要望された栗駒山麓ジオパークにおいて2024年度以降、協働して減災ツアープログラムを開発する事となった。 また、「地震火山地質こどもサマースクール」では提供した実験アイデアを基に新たな普及実験が開発されたり、「全国火山実験研究交流会」では火山災害の理解を深める様々な普及実験が交流されたりした。これらの場で共有された実験等は、ジオパークと協働して行う減災教育プログラム開発につながる重要な材料となった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、引き続き減災教育プログラム開発に関心のあるジオパークでの現地調査とプログラム開発を行う。特に近い将来の自然災害が想定される地域(室戸ジオパークや洞爺湖有珠山ジオパーク)は重要な調査対象である。現地調査やプログラム開発へのニーズ調査を実施する。また、栗駒山麓ジオパークとの減災教育プログラム開発も重点的に実施する。また、これまで試行してきた実験教材等をマニュアル化して公開するなどの整理を行う。さらにJICAで実施する2024年度 (課題別研修)「中南米地域 火山防災能力強化」 研修や、日本地震学会・日本火山学会・日本地質学会による地震火山地質こどもサマースクール(2024年は三好ジオパーク構想で開催)などでの普及実験開発についての協力が確定している。参加者に対するアンケート、調査補助者による参加者への聞き取り、ビデオ映像分析等も行い、実験の効果を検証する。 2025年度以降は、調査とプログラム開発と並行し、調査結果をまとめ開発したプログラムの実践・検証を行っていく。さらに得られた成果を国内外のジオパークやインターネット上で発信・普及する取り組みを行う。
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