研究課題/領域番号 |
23K02780
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 津山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
佐々井 祐二 津山工業高等専門学校, 総合理工学科, 教授 (40235239)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 食連星 / 光度曲線解析 / 全天モニタ / 卓上加速器 / 天文教育 / 天体観測会 / 連星系理論 |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者は世界天文年2009を契機として、小学生から高専生までの年齢層を中心とする「未来のガリレオ」の育成活動を行っている。本取組では、①食連星の測光観測と光度曲線解析により物理量を算出する高専生に対する天文教育、②天体観測会を通した地域小中学生に対する教育や保護者に対する啓蒙活動を推進する。食連星は恒星を理解するための情報源として非常に重要である。本研究では測光観測データに天文学の理論的知見および経験的知見を加えて、連星系理論に基づく光度曲線合成法により、対象食連星の温度、半径、質量、軌道傾斜角などの物理量の絶対値を引き出すことで、測光観測データの有効活用を図る。
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研究実績の概要 |
高専生に対する未来のガリレオ育成活動: [食連星の観測と光度曲線解析] 5年卒業研究生2名との共同研究として、測光データに主星のスペクトル型、質量光度関係、ロシュモデルを考慮する連星の物理量の導出に焦点を当てた。かみのけ座RW星(RW Com)及びぎょしゃ座ZZ星(ZZ Aur)について、測光データから作成した光度曲線に質量光度関係等の情報を加え、連星系理論に基づいたWDコードを組み込む解析ソフトウェアPHOEBEを用いた解析で、各種物理量の絶対値を導出した。 [天体観測室の改良(全天モニタ)] Entaniya VR 200 Cameraを格納した防水ドームを取り付けたPVKボックスを屋上に設置し、配線した5m屋外用LANケーブルを階下のシングルボードコンピュータRaspberry Pi4に接続している。このRaspberry Pi4上で、Pythonプログラムにて撮影し、そのJPG画像を気象観測サーバに転送し、5秒毎に更新することで全天モニタシステムを構築した。 [科学教育(加速器)] 加速器アウトリーチAxeLatoonに参画し、3年全系横断演習Ⅰ学生3名が、アクリルパイプを加速管、豆電球フィラメントからの熱電子をイオン源とする卓上静電型加速器製作に取り組んだ。真空ポンプで1.58×10^{-2}Paに空気引きし、フィラメントが安定的に発光することを確認した。 地域貢献としての未来のガリレオ育成活動:世界天文年2009 から行っている小中学生対象の公開講座「天体観測会―君も未来のガリレオだ!―」については、新型コロナウィルス感染拡大防止の関係で公開講座としては開催できないでいたが、2024年度からいよいよ復活することになり、第1回7/17(水)「夏休み直前スペシャル 手作り望遠鏡で月を見よう」、第2回11/7(木)「天体望遠鏡で木星と土星を見よう」の計画が校内で認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高専生に対する未来のガリレオ育成活動: [食連星の観測と光度曲線解析] 5年卒業研究生2名との共同研究として、主に測光データを用い、主星のスペクトル型、質量光度関係、ロシュモデルを考慮する連星の物理量の導出について、RW ComとZZ Aurについて解析できたので、「おおむね順調に進展している」である。 [天体観測室の改良(全天モニタ)] 5年卒業研究生1名との共同研究として、Raspberry Piを活用した全天モニタシステムを構築できた。「当初の計画以上に進展している」である。 [科学教育(加速器)] 卓上静電型加速器については、具体的な形になってきた。「当初の計画以上に進展している」である。 地域貢献としての未来のガリレオ育成活動:小中学生対象の公開講座「天体観測会―君も未来のガリレオだ!―」については、前年度に校内での承認が必要であり、2024年度の開催承認が得られた。 しかし「経年変化による不具合から限界を迎えている自動導入経緯台の代替機整備」及び撮影機材の整備が2024年度にずれ込んでしまったので総合的に「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
高専生に対する未来のガリレオ育成活動: [食連星の観測と光度曲線解析] 測光データを取得し、主星のスペクトル型、質量光度関係、ロシュモデル等を考慮することでスケールを導入し、Python上のツールに進化したWDコードを組み込むPHOEBE2を用いる解析により物理量の絶対値導出を探りたい。また、撮影機材の整備により観測を進めたい。 [天体観測室の改良(全天モニタ)] 夜間撮影の感度向上のため、赤外線カットフィルターが付いていないカメラを使用しているので、昼間は赤み掛かって見える。現在は24時間自動露出であるので、昼間は自動露出、夜間は10秒露出となるよう改良する。 [科学教育(加速器)] 空気漏れの対策により、真空度10^{-3}Pa以上を達成し、フィラメントから放出された熱電子をテスラコイルで加速し、ガラス壁面に衝突させる際の蛍光あるいは霧箱により電子ビームの観測を目指したい。 地域貢献としての未来のガリレオ育成活動:小中学生対象の公開講座「天体観測会―君も未来のガリレオだ!―」については、第1回7/17(水)「夏休み直前スペシャル 手作り望遠鏡で月を見よう」、第2回11/7(木)「天体望遠鏡で木星と土星を見よう」を実施する。「経年変化による不具合から限界を迎えている自動導入経緯台の代替機整備」の整備を実現し、天体観測会等で活用する。第2回では、ICTを活用したスマート望遠鏡を利用する撮影体験による深い学びも目的としている。
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