| 研究課題/領域番号 |
23K02787
|
| 研究種目 |
基盤研究(C)
|
| 配分区分 | 基金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
|
| 研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
加納 安彦 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教 (50252292)
|
| 研究分担者 |
谷 伊織 愛知学院大学, 心理学部, 准教授 (10568497)
石井 拓児 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (60345874)
|
| 研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
| 配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
| キーワード | 疑似科学 / 誤情報 / 健康食品 / ヘルスリテラシー / 科学リテラシー / メディアリテラシー / SNS / 科学メディアリテラシー / 科学的リテラシー / 初等中等教育 / 批判的思考 |
| 研究開始時の研究の概要 |
「健康食品」の宣伝に共通する特徴や論理の巧みさを計量テキスト分析によって明らかにする。一方、健康や食品に関する疑似科学的言説の他、超常現象や陰謀論、科学的基礎知識や批判的思考能力などを、市民・学生を対象として調査し分析する。合わせて、人体や健康に関する知識や考え方を身につける基盤である初等中等教育課程の教育内容を教科横断的に分析する。これらの成果を生かして、医療従事者や学生、市民を対象として、健康や食品、特に「健康食品」に対する正しい知識や考え方を身につけるための新たな教育内容を提案する。
|
| 研究実績の概要 |
本研究では、健康や食品に関する疑似科学言説を中心に、人々はなぜ疑似科学言説や誤情報に惑わされるのかに注目している。第2年度は、市民を対象としたアンケート調査を実施するとともに、SNS上の広告情報を収集した。また、海外での研究動向や、特に青少年を対象としたSNSの規制状況を調査する一方で、中学生、高校生向けに、海外で評価を得ている教材を翻訳・出版した。 1)海外の動向調査:我が国では疑似科学や誤情報を対象とする研究者は少ないため、進展が著しい海外の研究成果をとり入れることが重要な課題である。初年度に引き続き、海外の研究状況を調査し、関連する文献を収集した。また、とりわけSNSについて、海外では行政的な規制が進められているため、実態を調査した。 2)「健康食品」広告の分析:若年層を中心に、SNS、特にTikTokの利用が広がっているが、そこで配信される広告の実態は未解明である。健康や食品に関する宣伝に焦点を絞り、TikTokを通じて流布されている広告動画を収集した。若年者を対象とした広告に絞るため、学生アルバイトを雇用して、個人のアカウントを通して閲覧できる動画を収集した。 3)市民・学生の意識調査:健康や食品に関する疑似科学信念について、医療系学生を対象とした縦断調査をすでに報告している。今年度は、同じ調査項目を利用して、オンラインで市民を対象に調査を実施し、現在解析中である。 4)批判的思考力や科学リテラシーやメディアリテラシーを身に付けるための教育:科学的誤情報の典型が、気候変動に対する懐疑論である。このテーマに絞って、イラストやユーモアを交えて解説した書籍を翻訳し、出版した(業績参照)。中学生、高校生を対象として、気候科学の基本を解説し、さまざまな誤謬や科学否定のレトリックを批判する内容である。。
|
| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
3: やや遅れている
理由
疑似科学を科学的誤情報と位置づけ、広く誤情報に関する最新の知見について文献をフォローしているが、あまりに膨大であり、時間を要している。また、誤情報の発信・拡散の大きな要因であるSNSは、海外では青少年を対象とした利用規制が設けられるなど、状況が変化しているため、あわせて情報収集に努めた。 SNSを通した宣伝、特に健康食品の宣伝状況を明らかにするために、若年者での利用が広がっているTikTokを対象に、動画広告の分析を計画した。若年者向け広告に焦点を絞るため、学生アルバイトを雇用して収集を依頼したが、健康食品以外の広告が膨大であり、目的とするデータを収集するために時間を要した。現在解析中であるが、データ数が不足しており、異なる収集方法を検討している。 疑似科学言説の蔓延状況や流布している言説は国によってかなり異なっている。今年度は広範な情報を収集することができ、今後のアンケート調査を行うに当たって、十分な知見を得られた。同時に、すでに報告済の調査質問表を利用して、市民を対象としたアンケート調査を実施した。対象はすでに多くの知見を得ている同一の調査パネルであり、これまでの知見を生かした解析が可能である。 また、疑似科学・科学的誤情報は、科学教育分野でも関心を持たれている。今年度は科学教育学会年会で「誤情報・偽情報時代の科学教育」と題した特別のセッションが設けられ、指名を受けて、これまでの研究成果を発表した。あわせて、中高生向けの教材の作成に取り組み、アメリカで出版された書籍を翻訳・出版した。
|
| 今後の研究の推進方策 |
これまでの成果を生かし、第3年度には以下のように研究を進める予定である。 1)広告内容の分析:SNS上での広告、特にTikTokに注目し、マイクロターゲッティングされた動画広告を分析する。学生アルバイトを雇用して宣伝動画を収集のほか、ハッシュタグを利用して収集する。収集した動画は文字起こしを行った後、テキストマイニング分析用に集計し、KH coderにより分析する。 2)市民・学生の意識調査:疑似科学に対する信念を調査する。健康や食品に関する誤情報の調査質問票を利用して、市民を対象にデータを取得済である。今後は,すでに得ているパネル情報とあわせて解析を行う。また、新たな疑似科学信念尺度の作成のために、すでに100項目をリストアップ済である。今後は生成AIも利用して、国内の文化的背景にあわせた尺度を作成する。合わせて、基本的な人口統計学的な情報やビッグファイブ特性などを調査し、関連を分析する。 3)教育課程の分析:科学リテラシーあるいはヘルスリテラシーの養成という観点から、初等中等教育において、「人体の構造と機能」がどのように取り上げられているのかを検討する。小・中・高校の各科目での教育内容を比較し、それらが系統性が保たれているのか否かを検証する。 4)批判的思考力や科学メディアリテラシーを身に付けるための教育:Web上の情報検索のためのスキルとして、ラテラルリーディングやクリック自制が重要であることが明らかになっている。英語圏では、こうしたスキルを育成するための教育リソースが書籍や論文、Webサイトを通じて提供されている一方、日本語で利用できるリソースは皆無である。そのため、海外で定評のある誤情報に関する大学生向けの教科書の翻訳・出版を計画中である。また、国内で教材となる実例(Webサイトなど)を調査し、モデルとなる題材やカリキュラム案などを作成する。
|