研究課題/領域番号 |
23K02794
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
戸田 晃一 富山県立大学, 工学部, 教授 (20338198)
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研究分担者 |
山本 裕樹 東北公益文科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20348816)
中西 裕之 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (90419846)
櫛田 淳子 東海大学, 理学部, 教授 (80366020)
上田 晴彦 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (70272028)
澤渡 信之 東京理科大学, 創域理工学部先端物理学科, 教授 (80339126)
中村 厚 北里大学, 理学部, 准教授 (90245415)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | インターネット望遠鏡システム / 課題バンク / 天体観測(とくに南天) / オンライン教育 / 電子観望 / 生涯教育 / コンピテンシー教育 / エージェンシー教育 / 生涯学習 |
研究開始時の研究の概要 |
インターネット望遠鏡システム(ITS)とは,遠隔地に設置された望遠鏡をインターネット経由で操作し,様々な天体を観測するための装置と操作システムのことである。2003年度より国内外に複数台が設置され,現在まで運用されている。ただし,現時点では北半球にのみ設置されている状況である。
ITSを南半球に設置すれば,北半球への設置分と相互活用でき,24時間常時天体観測が地球規模で可能となる。本研究において,南半球にITS初号機の設置と運用を行う。
ITSによる天体観察を教育現場で普及させるために,小学校から高等学校までの各学年で使える観測テーマの事例を無料公開する仕組みである「ITP課題バンク」を開発する。
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研究実績の概要 |
インターネット望遠鏡システムとは,遠隔地に設置された望遠鏡をインターネット経由でコントロールし,さまざまな天体を観測するための装置と操作システムのことである。2003年度より,北半球の複数箇所に設置され,自宅や教育現場で無料で利用されている実績が数多くある。南半球に設置すれば,北半球に設置されたものと相互活用でき,地球規模で24時間常時天体観測が可能となる。本研究課題において,ブラジル国内の複数箇所にインターネット望遠鏡システムを設置するための基礎調査を,オンライン形式により行った。また,2023年度後半は国際会議に参加し発表を行ったり,対面での研究打合会合など実施したりした。
また,インターネット望遠鏡システムによる天体観察を教育現場により普及させるために,小学校から高等学校までの各学年で,天文学教育における「コンピテンシー教育」の教材例ともなる“使える”観測テーマの事例を無料で公開する仕組みである「課題バンク」を開発している。作成するためのカテゴリ(テーマ)を決め,各テーマごとにいくつかの「課題」を作成することができた。また,試験的に運用を開始した「課題バンク」のホームページの試用を行い,見つかった問題点をすぐに改善し,その完成度を高めている。
さらに,インターネット望遠鏡システムの設置費用を抑えるために,インターネット望遠鏡システムの小型化の研究を進めている。小型望遠鏡とスマートフォンもしくはタブレットを利用した「スマート望遠鏡(仮称)」をその候補とし,インターネット望遠鏡のシステムを利用できるかの検討を行った。毎年度開催している「インターネット望遠鏡プロジェクトに関するシンポジウム」を2023年度も11月に,オンライン形式と対面形式のハイブリッドにて開催し,本研究課題の研究成果の公表や関連する研究活動および教育活動の実践報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年3月のブラジル滞在以降,新型コロナウイルス感染症の甚大な影響のため,インターネット望遠鏡システムの南米での設置予定先であるブラジル国内のサンパウロ大学サンカルロス校に滞在し,本研究課題のメンバーが設置のための現地状況の視察や設置のための事前準備を行うことがほとんどできなかった。しかし,オンラインで先方との協議を継続的に行っている。
各地のサイエンスカフェ,青少年のための科学の祭典などに可能な限り参加し,本研究による成果のアウトリーチ活動を行う予定であったが,新型コロナウイルス感染症の影響により,これらの活動もここ数年度間は限定的となった。このため,現在作成中の「課題バンク」の試用を行い,その改良点や補足すべき点,および加えるべき課題の調査にも遅延が生じている。(2023年度中盤より本格的な対面での活動を対外的に再開した状況である。)
しかし,「スマート望遠鏡(仮称)」の開発研究は,ほぼ順調に進んでおり,2023年度内に試作品の準備に入ることができた。これは他の活動がまだ限定的であるために,本活動に注力した成果である。さらに,当初の予定にはなかったインターネット望遠鏡の操作インターフェースの改良にも着手した。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の影響がやっと収まりつつあるため,本格的にブラジル国内への設置の準備に入ることができる。南米での設置予定先であるブラジル国内の2箇所への設置計画を粛々と進めていく。
インターネット望遠鏡システムの小型化は,今後のインターネット望遠鏡システムネットワークの普及に不可欠な課題である。2024年度中に「スマート望遠鏡(仮称)」の試作機を完成させ,試用できるように現在計画を進めている。また,各テーマごとに複数の「課題」を作成し,「課題バンク」のさらなる充実を図る。そして,専用ホームページにてそれらの「課題」を公開し,教育現場などでの利用が可能となるように整備していく。これらは,「コンピテンシー教育」,そしてその先にある「エージェンシー教育」の先行実例となるような教材として作成していく予定である。
加えて,本研究課題に関係するいくつかのホームページの内容を充実させ,国際会議などでの発表や勤務先以外でのアウトリーチ活動についても,本格的な対面形式での実施を再開させる予定である。
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