研究課題/領域番号 |
23K02815
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
石原 秀則 香川大学, 創造工学部, 准教授 (90273292)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 科学教育 / 実験と理論 / 主体的学び / 数学と物理の融合教育 / 実験とリテラシー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、科学教育の一環として、中高生を対象とした物理および数学の教育プログラムの成立を目指す。本来であれば、数学と物理は、様々な科学技術の基盤を成すものであるが、現在の中学および高校での教育においては、それぞれが独立した科目として実施され、数学の持つ物理的意味について触れられていない。青少年の理科離れへの対策、および、物理・科学への理解度の増進、関連分野への能力を示す生徒にさらなる能力の伸長を目指して、物理における諸現象を数学的に表現する中で、数学の持つ物理的意味を理解させ、数学と物理への関心を高めると同時に、それぞれの科目への理解度を高めることを目指す。
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研究実績の概要 |
令和5年度においては、協力校である藤井学園藤井中学校および藤井高等学校において、授業を実施した。中学校では、2年生(3クラス、約90名)を対象に6回、1年生を対象に1回の授業(各90分)を行い、高校では、2-3年生の物理選択の生徒を対象に1回、1-3年生の物理選択の生徒を対象に3回の講義(各90分)を行った。いずれの講義においても、実験に基づき、データの整理を行った後、物理(理科)の概念での説明と、データの数学的取り扱いについての説明を行った。 中学校では、理科や数学的な理解よりも、実験を通じて理科に関心を持たせることと、理科と数学に関係性があることの気づきに重点を置いた授業内容として、参加した全員が実験に参加することを重視した。そのため、中学校指導要領に記載された学習単元とは異なるが、学習単元との関連性を持った内容とした。また、本年度では、データの取得に、生徒が所有するタブレットを利用するなど、タブレットの理科や数学への活用を意識した内容とした。 高校では、物理基礎で習った内容に関連した、力や電気に関する実験を行い、挙動の可視化とデータの取得を行った後、そこに存在する物理原理について、数学的取り扱いについての説明を行った。 各講義では、自由記述によるアンケート調査を行い、大雑把にまとめると、難しいけど面白かったとの意見が大半を占めた。特に中学校では、数式の取り扱いにおいて、難しいとの意見が多い中で、物理現象が数式で書くことができることに興味を持ったという意見が散見され、本研究の目的に向かって、取り組みが一定の成果を上げつつあると感じている。 また、教員のヒアリングでは、本授業の後で、生徒との間で話題になることがあるなど、生徒が興味を持ちつつあるとの感想をいただいている。ただし、これが理数科目への興味へと直結するかは、本年度だけでは、判別が難しく、今後の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度においては、当初予定していた授業をすべて行い、主観的な評価であるが、受講した生徒や関係した教員からは、概ね良好な評価をいただいている。その過程において、生徒達が主体的に授業に参加し、授業内容に興味を持たせることにおいては、一定の方法が確立しつつある。その意味でも、当該年度の成果としては、概ね順調に進展していると判断する。ただし、実験装置の一部においては、市販の物ではなく試作したものを使用していることから、不具合が生じたものもあった。今年度は、申請者が講義を行ったため、不具合への対応も可能であり、授業そのものには、大きな影響は出なかったものの、当初の目的である、中学高校の教諭による実施を目指した場合は、問題になる。そのため、実験装置および実験方法については、検討の余地を残している。 また、生徒及び教員からのフィードバックの具体的な解析や、本研究の目的である理数系へ関心を持つ生徒の増加という目的に対しての定量的な評価については、その手法自体について、模索している状態であり、その点においても、課題を残している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究においては、主に、1)講義内容のブラッシュアップ、2)講義内容のマニュアル化、3)講義および研究自体の客観的評価の3点を課題として、進めて行く。 1)講義内容のブラッシュアップとしては、原則、令和5年度の講義内容を基本として、説明内容、実験方法、実験装置の改良を行う。さらに、講義内容としては、指導要領に記載されている単元との関連性を明確化することで、正課授業の中での実施が可能となるように見直しを行う。 2)講義内容のマニュアル化は、将来的に、中学校および高等学校の教諭による本講義の実施が可能となるように、講義内容についての指導要領の作成を目指して、教諭らと連携して行う。 3)講義及び研究自体の客観的評価としては、アンケートなどによる生徒や教諭からの授業に関するフィードバックに加え、理数系科目への関心度を表す調査を行い、本事業の生徒達の理数系科目への関心度への影響についても調べる。 また、本研究以外でも、香川県内における中学生に対するSTEAM教育(善通寺市中学校STEAM教育プログラム)など、関連事業の展開が進んでおり、それらを統合して、成果を高めていきたい。
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