研究課題/領域番号 |
23K02830
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 富山高等専門学校 |
研究代表者 |
笹谷 敬二 富山高等専門学校, その他部局等, 嘱託教授 (70196195)
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研究分担者 |
福留 研一 富山高等専門学校, その他部局等, 准教授 (30701916)
西井 典子 富山高等専門学校, その他部局等, 講師 (50509651)
向瀬 紀一郎 富山高等専門学校, その他部局等, 教授 (60408721)
保前 友高 富山高等専門学校, その他部局等, 教授 (30470032)
金山 恵美 富山高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70779800)
山谷 尚弘 富山高等専門学校, その他部局等, 准教授 (30646774)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 海洋教育 / オンライン教材 / プランクトン / 富山湾 / 練習船 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、本校所有の練習船を活用して、特徴的な水塊構造を持つ富山湾において月1回程度の定期的なプランクトンの採取と評価を行う。生息するプランクトンの季節による消長、深度による差異を明らかにし、水の循環による環境変化との関連を明らかにする。この成果を題材として、海洋教育・科学教育の観点から、オンライン環境における教材を開発・公開し、どこからでも誰でも活用できるようにする。その上で、研究成果を活用したオンラインの公開講座を実施し、海洋教育の全国展開を試みる。これらは地域性に依存しない海洋教育を提案するものである。
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研究実績の概要 |
本研究は、小中学生を主な対象として、海に興味関心を持ち、学習することができるオンライン教材・講座を開発することを目的とする。海が身近ではない地域に住む小中学生にとっても興味をひくことができる海洋性プランクトンをコンテンツのメインテーマとすることを提案する。特有の地形・水塊構造を持つ富山湾に生息するプランクトンの季節による変動を題材として、海の生物、海洋環境に関するオンライン海洋教育教材を開発する。具体的には、本校が所有し、比較的自由に観測に使用できる練習船若潮丸を活用して定期的なプランクトン採取を行い、富山湾のプランクトンの深度や季節による消長に関するデータベースを構築する。その上で、海洋教育・科学教育の観点から、このプランクトンの季節変化に関するデータを題材とした海洋教育教材を開発し、オンライン環境におけるコンテンツとしてどこからでも誰でも活用できるように公開する。 今年度は研究実施計画に基づき、研究開始直後から、月1回程度、富山湾の定点で深度を区切ってプランクトンを採取した。この際、海水温、塩分濃度の鉛直分布などの海洋環境データの観測をあわせて行い、採取したプランクトンが生息する環境のデータも同時に取得した。採取したプランクトンは、観察・記録、概数の評価、可能な範囲での同定を行った。年間の採取を通じ、2023年度において富山湾の定点で採取された主要な動物プランクトンの種類や優占種の季節的変化の把握および、教材に用いる写真や動画素材を取得することができた。薬品を用いてプランクトンを固定(保存)する技術を習得し、採取したプランクトンを長期的に観察することが可能となった。来年度以降の公開に向けて、これらのプランクトンの写真・動画の撮影も行った。また、プランクトンを題材とした海洋教育教材を開発し、小中学生を対象とした公開講座で試用して評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度である今年度は、研究実施計画に基づき、月1回程度、10回の研究航海を実施した。富山湾の定点にて水深250mから海面まで、NORPACネットを用いて鉛直引きを行い、マクロプランクトンを採取した。この際、CTDを用いた海洋環境データの観測をあわせて行い、採取したプランクトンが生息する環境の海水温、塩分濃度、chl-aの鉛直分布などのデータも同時に取得した。採取したプランクトンは、動物プランクトンに注目して特徴的な種類の観察・記録および、可能な範囲での同定を行った。併せて、本校の限られた設備や人員で持続的に実施可能な簡易なプランクトンの定量手法の検討と試行・検証を進め、12月以降のサンプルに関しては主要な種類の概数の評価を可能とした。年間の採取を通じ、富山湾に現れる主要な動物プランクトンの種類や優占種の季節的変化の把握および、教材に用いる写真や動画素材を取得することができた。加えて、一部の種においては、卵や幼体の出現、越冬したと思われる大型個体などを確認・記録しており、富山湾における動物プランクトンのライフサイクルも捉えることが出来ている。薬品を用いてプランクトンを固定(保存)する技術も習得し、採取したプランクトンを後日の利用・検証に耐える形で長期的に保存することが可能となった。来年度以降の公開に向けて、これらのプランクトンの写真・動画の撮影も行った。また、7月には県内の小中学生を対象とした公開講座を開催し、プランクトンの採取・観察を行うプログラムを実施した。この際には、動物プランクトンを題材とした海洋教育教材の最初の試作版を用いて観察を行い、効果や評価を行った。さらに、オンライン海洋教育教材のコンテンツの一部となる三次元モデルの製作のための環境を整備した。 以上のように、今年度は順調に研究が進展した。
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今後の研究の推進方策 |
①定期的なプランクトン採取と評価(2024年度、2025年度):今年度に引き続き、月1回程度、富山湾の定点で深度を区切ってプランクトンを採取する。この際、海水温、塩分濃度の鉛直分布などの海洋環境データの観測をあわせて行い、採取したプランクトンが生息する環境のデータも同時に取得する。採取したプランクトンは、観察・記録、概数の評価、可能な範囲での同定を行う。教材作成のため、これらのプランクトンの写真・動画の撮影も行う。 ②データベースの構築・公開(2024年度、2025年度):研究開始から1年が経過し、季節が一巡したため、季節・深度を考慮した富山湾のプランクトンの消長を議論するための基礎データが得られている。得られたデータは学術論文としてまとめるとともに、データベースを構築し、公開が可能になった時点で公開する。 ③オンライン海洋教育教材の開発と公開(2024年度、2025年度):同様に今年度、撮影して蓄積した写真・動画、および構築したデータベースの内容を基礎としてオンラインの海洋教育教材を開発し、公開する。小中学生が容易に情報にアクセスできるように公開方法を工夫する。特に、楽しみながら学べるものとなるよう、インタラクティブな要素を盛り込む。また、科学的好奇心を刺激するものとなるよう、プランクトンの採取方法や観察方法に関する解説、船の設備の紹介なども盛り込む。公開にあたっては、一般の教育関係者の方々も活用できる素材(教材)としての側面も重視する。 ④オンライン公開講座の実施(2025年度):研究開始から2年経過後、構築したデータベース、オンラインの海洋教育教材など、本研究課題で得られた成果を基礎として、全国の小中学生を対象としたオンライン公開講座を実施し、海洋教育の全国展開を試みる。
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