研究課題/領域番号 |
23K02835
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
田崎 勝也 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (00350588)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 係留寸描法 / 尺度の不定性 / 特異項目機能 / Web調査 / QOL / 文化的自己観 / BIG5 / DIF / 反応バイアス |
研究開始時の研究の概要 |
多くの心理学研究が 質問紙調査により得たデータに心理学的・蓋然的な根拠を依拠してきた。他方で,質問紙調査には研究の妥当性を棄損するバイアス要因が多数存在する。さまざまな要因が指摘されるなかで,心理学研究で根幹をなすリカート尺度での数量化にまつわるバイアスは,その発生原因や補正法を含め未解決のままである。本研究では計量政治学で見出された係留寸描法を心理学研究に援用し,リカート尺度の測定において人もしくは集団によって評定選択肢の選択基準が異なるという根源的かつ核心的な課題にどう取り組むのか,その機制の解明および補正の方法を提示し,バイアスなき心理学研究への指針となる知見を示すことを目標とする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は係留寸描(Anchoring Vignettes,以下AV)項目の作成およびAV項目を用いたバイアスの補正を検討することにある。本年度は3尺度に対してAV項目の作成に着手した。 AV項目の作成に際して注意しなければならないこととして、対象となる因子(次元)に関して、当該次元における強度がAV項目の内容に反映されているかがある。こうした点に鑑み,まず性格特性を測定するBIG5尺度に関しては,Weiss & Roberts(2018)による先駆的な取り組みを参考に,基本的には彼らのAV項目を日本語に翻訳した。翻訳に際しては各性格次元内の強度の違いを確認し,段階抜けがある性格特性に関してはギャップを埋めるため数項目を補った。 文化的自己観尺度のAV項目については、数ある尺度のうち高田・大本・清家(1995)による文化的自己観短縮版(20項目,4因子)を基にAV項目を作成した。過去文化的自己観を用いた研究では,欧米人の相互独立的自己観,アジア人の相互協調的自己観が確認できない研究が散見され,質問項目への判断基準の文化差が尺度自体の妥当性を棄損している可能性が高い。こうしたことから各AV項目が文化的にみて普遍的な内容になるように注意して作成した。 QOL尺度に関するAV項目については"WHOQOL26"と呼ばれる26項目,4因子を取り上げた。当該尺度はWHOによって作成されたもので,身体領域,心理的領域,環境領域,社会領域の4領域からQOLについて考えている。医療場面での使用も見越し,人間の幸福について,普遍的な側面や各領域における強弱が反映されるようにAV項目を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
23年度はAV項目の作成を行った。当初の予定では初年度には項目案に対してインタビュー調査(Think aloud法によるフィードバック)を行い項目の修正をする予定であったため,進捗状況は「やや遅れ」になる。今後は予備調査を速やかに実施し、適宜項目の修正を行って,本調査に臨みたい。
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今後の研究の推進方策 |
AV項目の作成を終え,次は予備調査の移る。インタビュー調査を実施し,Think aloud法によって,回答者がどのようなことを想い考えて回答に至っているのかについて,声に出して回答してもらい,AV項目案の妥当性を確認する。 Think aloud法によるフィードバックおよび修正を経て,学生を対象としたプレテストを実施する。100人程度の参加者を募集し,統計処理を行って,必要があれば更なる項目修正を行う。 2回の予備調査を通して項目の確認および修正を行い,問題がなければ調査会社に依頼して,日本・米国・韓国からデータを収集する。
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