研究課題/領域番号 |
23K02836
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
杉浦 淳吉 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (70311719)
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研究分担者 |
吉川 肇子 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (70214830)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | シミュレーション&ゲーミング / 計画された偶発性 / 集団 / 対応力 / 説得 / 化学反応ゲーム / ゲーミング / コントロール感 / 計画錯誤 |
研究開始時の研究の概要 |
気候変動による災害や感染症の流行による健康への脅威などが発端となって降りかかってくる出来事が私たちの生活の計画を狂わせている。本研究では、偶発的な出来事への集団としての対処に関し、次の2つの課題を達成する。(1)社会・集団において、偶発的に生じる出来事に対して、葛藤事態の解決に向けた協力による共通利益の発見と目標達成のプロセスを解明する。(2)偶発的な出来事への対応を発達心理学における「計画された偶発性」の理論を援用し、集団での事前の準備が事態のコントロール感を高め、運任せにしない対処方略を解明し、柔軟な対応力を高めるゲーミング手法を開発する。
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研究実績の概要 |
集団における偶発的な出来事への事例の収集と、その事例を表すシミュレーション&ゲーミング(S&G)の開発を行った。第1に、偶発的な出来事が生じた現実の事例から、集団成員の事前準備の取り組みの特徴と、集団の柔軟な対応との対応関係を調査し、「計画された偶発性」の5条件を参考に、S&Gを構成するコンテンツとルールを検討した。第2に、偶発的な出来事に対して事前に準備し、隠された目標を推測しながら柔軟に対応するほど、目標達成の確率が上がるようなS&Gのルールを目標として設定した。その際、偶発的な出来事が起こる前後での心理プロセスの変化に着目し、事例と対応するS&Gを次の2つの方略で探索・検討を行い、偶発的な出来事への対応力をトレーニングするための枠組みを作成することができた。 1つ目は収集した事例をコンテンツとして搭載できるフレームゲームの活用である。「説得納得ゲーム」では、計画錯誤に陥りやすい事例に着目し、偶発的な要因による計画遂行の阻害につながる新たな遂行課題を上手く拒否するS&Gを開発した。「クロスロード」では、偶発的に生じた援助が必要な場面において、援助行動を行うか否かの要因の特定を検討するS&Gを開発した。「人生すごろく」ではライスストーリーとキャリアプランの作成から偶発的な出来事の経験と将来への準備との関連という観点を組み込んだ。 2つ目は、偶発的な出来事の発生前後の変化のプロセスについて化学反応をメタファーとして作成したS&G「化学反応ゲーム(CRG)」の開発である。CRGでは,参加者が対面状況で化学における元素の役割を担い,個々人が集団の形成(化合)と解散(分解)を繰り返す。元素をロールプレイする参加者はランダムに配置されるので、化合と分解に関する知識と状況判断が必要となる。このS&Gを日本とドイツの大学で実施し、成果を集約した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度に予定していた本研究課題のテーマに関する事例収集作業がやや遅れているものの、事例を組み込むシミュレーション&ゲーミング(S&G)の準備が想定よりも幅広く進めることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
偶発的な出来事が生じた現実の事例に関して、行政の取り組みの事例や文化人類学的な視点も取り入れ、集団成員の事前準備の取り組みの特徴と集団の柔軟な対応との対応関係についてさらに調査を進める。それによって生態学的妥当性の高いゲーミングを目指す。偶発的出来事への対応ゲームについて、開発した化学反応ゲームを軸に、計画された偶発性の5条件を検討できるようにする。文化間比較について、日本とドイツとの比較検討を進める。
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