研究課題/領域番号 |
23K02851
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
長谷川 孝治 駒澤大学, 文学部, 教授 (20341232)
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研究分担者 |
古里 由香里 お茶の水女子大学, 教学IR・教育開発・学修支援センター, 特任講師 (20793095)
古谷 嘉一郎 関西大学, 総合情報学部, 教授 (80461309)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ハイロメーター / ソシオメーター / 自尊心 / 自己愛 / 学歴 / 友人関係 / 国際比較 / 社会的地位 |
研究開始時の研究の概要 |
ソシオメーター理論では社会的包摂が自尊心を規定し、それが親和行動を調整するとされる。また、近年注目のハイロメーター理論では、社会的地位が自尊心と自己愛を高め、自己主張行動を促進するとされる。このように両理論から、社会的受容の結果としての自尊心と、古典的な成功体験の結果としての自尊心及び自己愛という異なる側面を統合的に捉えることができる。しかしながら、両理論を総合してもなお、自尊心から親和行動へ過程の詳細は未だ不明である。本研究では、低自尊心者の下方螺旋過程の知見に基づき、自尊心の上昇がポジティブな親和行動を、逆に自尊心の低下がネガティブな親和行動を生起させると予測し、その検証を行う。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、自尊心に関するソシオメーター理論に加え,自己愛にも焦点を拡張させたハイロメーター理論に着目し,社会的包摂と社会的地位によって,自尊心と自己愛がどのように規定され,その結果として,他者に対する親和行動と主張行動がどのように発生するかという一連の過程を明らかにすることである。 本年度は,追試的なWeb調査実施の準備段階として,これまでの大規模社会調査において,両理論に関連する類似の変数を含んだデータを探索した。その結果,SSJDAからハイロメーター理論の前半部分に関する変数を含んだデータとして,〔「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査,2018」(こども家庭庁)〕の個票データを取得し,二次分析を行った。このデータは,日本,韓国,アメリカ,イギリス,ドイツ,フランス,スウェーデンの満13~29歳を対象とする調査であり,本研究の検討のため,各国の既卒・社会人を抽出して分析した。 全体に対するパス解析の結果,父母学歴が本人の学歴を規定する正のパスが有意であり,学歴が世代間連鎖することが示唆された。また,学歴は正規ダミーと正の関連を,非正規ダミーとは負の関連を持っていた。さらに,正規ダミーと非正規ダミーが自尊心を正に規定し,非正規ダミーが自己愛を正に規定していた。これらから,学歴によって職業達成がなされ,それが自尊心や自己愛を醸成する過程の存在が示唆された。また,友人関係満足度と友人数は自尊心と自己愛に正の関連を持っていた。 次に,国ごとの多母集団同時分析の結果,日本でも,父母学歴から本人学歴に,それが正規ダミーに,さらに正規ダミーが自己愛を規定する過程が示された。自尊心は友人数や友人関係満足度に規定されていた。これらは日本では学歴による職業達成が自尊心ではなく,自己愛を醸成するという社会的地位と包摂が自己の2要素を個別に規定する過程が存在することを示唆する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初,ソシオメーター理論とハイロメーター理論に関する追試的なWeb調査を実施するのと並行して,これまでの大規模社会調査アーカイブで,両理論に関連する変数がないかを調査し,類似の変数を含んだデータを取得し,二次分析を行う予定であった。しかしながら,既存のデータでは完全に両理論全体を検証できる変数を含むものが少なく,より慎重に探索をした結果,研究にやや遅れが生じた。慎重な探索の結果,両理論の前半部分の変数を含む調査を発見し,二次分析を行った。その結果を基に,来年度,追試的なWeb調査を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
上述したように,本年度は,大規模社会調査アーカイブで,両理論に関連する変数がないかを調査し、類似の変数を含んだデータを取得し、二次分析を行った。その結果,父母学歴から本人の自尊心と自己愛に至る一連の自己評価過程を明確化することができた。 来年度は,既に取得した,もうひとつの大規模社会調査データを同様に二次分析するとともに,それらの分析結果を基に,追試的なWeb調査を実施し,ハイロメーター理論の詳細を明らかにする予定である。
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