研究課題/領域番号 |
23K02856
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
宮崎 由樹 中京大学, 心理学部, 准教授 (70600873)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 衛生マスク / 顔 / 非人間化 / COVID-19 |
研究開始時の研究の概要 |
研究期間において,次の2点から段階的に検討する。第1に,顔の倒立効果を指標とし,知覚レベルでのマスク顔の非人間化を明らかにする。第2に,マスク顔に対する人間らしさ (思慮深さ,共感性等) の顕在評価により,認知レベルでのマスク顔の非人間化を明らかにする。また,これらに並行して,多様な側面から,マスク着用の副作用についてアプローチし,COVID-19で得た教訓を将来の新たなパンデミック等への備えとして活かすためのマスク研究を展開していく。
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研究実績の概要 |
2023年度は以下の2つのマスク研究に取り組んだ。 1. 黒マスクに対する印象の文化比較 日本では白と比較して黒マスクを着用する人物に対してネガティブな印象が持たれる。一方,西洋では黒マスクの方が好まれる。この日本そして西洋で行われた先行研究では,マスクの呈示方法 (人物が着用,マスクのみ)が異なっており,黒マスクの印象が文化に依存するのか,呈示方法に依存するのか明らかにされていなかった。本研究ではマスクのみを呈示し,日本,イギリス,アメリカ人参加者にマスクそのものの印象評価を行わせた。参加者は白,グレー,黒のマスクを見て,「着用意欲」,「魅力」,「健康さ」,「お洒落さ」,「好ましさ」を評価した。その結果,日本人参加者は,白やグレーに比べて黒マスクをネガティブに評価した。しかし,イギリスやアメリカ人参加者は黒マスクをネガティブに評価せず,むしろお洒落さや好ましさで白マスクよりもポジティブに評価した。また,ソックスの印象評価では,日本,イギリス,アメリカ間の違いは観測されなかった。この研究から,黒マスクに対する印象が文化によって異なることが明らかになった。本研究結果は,2024年度に学会発表を予定している。 2. マスク着用頻度と友人数の推移の関係 マスクを着用し顔の見えない人物には親しみを感じにくく,信頼感等の印象も低く感じられる。また,笑顔がマスクで認識しづらくなることにより,初対面の他者からのアプローチの機会を逸しうる。こうした先行研究に基づくと,マスク着用は新たな他者との出会い (友人数等の社会ネットワークの広がり) の妨害要因として作用する可能性がある。本研究では,2023年4月から2024年3月の期間,1ヶ月に1度,「LINEの友だち登録数」,「マスク着用頻度」,「外出頻度」等を縦断的に調査した。調査結果は現在集計中で,分析が済み次第,2024年度中の学会発表を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年9月に所属機関の変更が生じた。その関係で対面実験環境を新しく構築する必要があったため,ウェブで実施可能な研究を中心に進めることとした。日本,アメリカ,イギリスで行ったウェブ実験により,黒マスクに対する印象には文化差が存在するという新しい現象を発見した。2024年4月からは,対面実験を実施するために十分なスペースのある実験室を所属機関から貸与されている。また,実験用のデスクトップPCやディスプレイを新規に導入した。実験プログラム用のソフトウェア (Matlab) も購入した。加えて,対面実験を効率的に実施するためのカレンダー型のオンライン参加者募集システムも導入した。このように,当初の計画を進展させるための実験環境を新しく整備した。
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今後の研究の推進方策 |
やや遅れの生じている対面での実験室実験を中心に進める。それと同時に,黒マスクに対する印象がなぜ日本と西洋 (アメリカ,イギリス) で異なるのかを明らかにするためのウェブ実験も実施する。具体的には,黒マスクにネガティブな印象が生じるプロセスを明らかにするための研究,中国や韓国でのウェブ実験を検討している。
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