研究課題/領域番号 |
23K02861
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宇佐美 慧 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (20735394)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 縦断データ / 個人内関係 / 相互関係 / 交差遅延モデル / 因果推論 / 構造ネストモデル / 測定誤差 / 交絡変数 / 構造方程式モデリング / 交差遅延パネルモデル |
研究開始時の研究の概要 |
心理学では「ある人が長く睡眠をとれば精神的健康度が高くなるのか、或いは逆の関係か」のような縦断研究に基づく(個人内の)相互関係の推測が中核的なテーマの一つである。これを目的として心理学では構造方程式モデリング(SEM)が多用されるが、利用可能なモデルは多数存在し、例えば疫学では交絡やモデルの誤設定の影響に対して頑健な、構造ネストモデル(SNM)がある。本研究課題では、SEMベースのモデルの数理的分析と推測結果の比較、SEMとSNMの融合的方法の開発と性能評価、ソフトウェア開発と大規模データを用いた実証分析を通して、相互関係の推測を柔軟かつ頑健に行う方法を整備し、実際の分析の具体的指針を与える。
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研究実績の概要 |
複数の個人から継続的に測定して得たデータを縦断データと呼ぶ。本研究課題では、縦断的に測定された複数の変数に関する変化の相互関係の柔軟かつ頑健な推測方法の開発と応用を目的に研究を行った。当初設定した研究課題のうち、特に「測定誤差や個人効果の仮定に関して柔軟かつ頑健な相互関係の推測方法の開発」・「提案手法の解説論文の執筆」の2点を重点的に進めた。 1点目について、例えばランダム切片交差遅延モデル(RI-CLPM)が意図しているような、潜在変数間の縦断的な関係としての個人内関係の推測の問題において、構造ネストモデル(SNM)に基づく段階推定法の提案を行ったUsami(2023)の拡張として、心理学研究の測定で頻出する測定誤差の影響がある場合でも適用可能な方法を提案し、論文化の作業の大半を進めた。 Usami(2023)の方法の中核をなすSNMについては、(個人内の)相互関係の推測に特に関心が寄せられる心理学領域での適用例は非常に少ない。特に同時効果(joint effect)や頑健推定の観点から、例えばRI-CLPMなど従来の構造方程式モデリング(SEM)に基づく推定に比べSNMやUsami(2023)の方法を適用することの意義やそれらの基本的な考え方を解説した論文を執筆し、主要国際誌に採択された。また、これらの方法を含めた、縦断データ分析に関する解説資料の執筆も進めた。 他には、「DPMとRI-CLPMの数理的分析と相互関係の推測結果の性能比較」の研究についても必要なシミュレーションコードの作成を行い、また大規模縦断コホート調査を用いた提案手法の応用研究も開始でき、論文化を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「DPMとRI-CLPMの数理的分析と相互関係の推測結果の性能比較」の研究は当初予定より開始が遅れたが、「測定誤差や個人効果の仮定に関して柔軟かつ頑健な相互関係の推測方法の開発」・「提案手法の解説論文の執筆」の2点の研究については今年度重点的に進めることができ、また後者については論文化もできたため。
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今後の研究の推進方策 |
「DPMとRI-CLPMの数理的分析と相互関係の推測結果の性能比較」の研究では、これら二つのモデルに基づく相互関係や個人効果分散の推測結果についての数理的分析とともに、シミュレーションも併用しながら、時点数や個人効果の分散などの諸要因と推測結果の差異との関係についての検討を行う。そして、「多様なデータタイプや分析モデルを踏まえた、Usami (2023)の方法の性能の網羅的検討」についても、データやモデルの誤設定について多様な条件を設定しながら、RI-CLPMおよびDPMも比較対象に加えた大規模シミュレーションに基づくUsami (2023)の方法の性能評価・比較を行う。Usami (2023)やその拡張を含めた、縦断データ分析に関する解説資料の執筆も推進していく。
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