研究課題/領域番号 |
23K02872
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
森田 泰介 東京理科大学, 教養教育研究院神楽坂キャンパス教養部, 教授 (10425142)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | マインドワンダリング / ぼんやり現象 / 不注意 / 授業 / 思考 / 授業場面 / 注意 / 記憶 / 意図 |
研究開始時の研究の概要 |
学校での授業中に、授業後の予定について考えたり、他者とけんかしたことを思い出したりして、授業内容の理解が疎かになることがある。そのような、現在遂行中の課題から注意が逸脱し、それとは無関係な内的思考に注意が向いてしまう現象のことをマインドワンダリングと呼ぶ。本研究では、授業場面でのマインドワンダリングが、どのように始まり、継続し、終了するのかについて実証的・理論的に検討するとともに、得られた知見に基づき授業場面でのマインドワンダリングを制御する方法を提案することを目指すものである。
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研究実績の概要 |
授業での学習活動に大きな影響を与えるものとして、学習者によるマインドワンダリング(ぼんやり現象)が知られている。マインドワンダリングとは現在遂行中の課題から注意が逸脱し、それとは関連のない思考に注意が向く現象のことである。これまで、大学生が経験する注意の失敗の多くが授業内でのマインドワンダリングであることや、授業中にマインドワンダリングを経験する程度が高いほどその授業での成績が低くなることが明らかになっている。そのため授業中に経験されるマインドワンダリングの制御に資する知見を得ることは重要な研究課題であるといえる。本研究ではこの課題に取り組むため、授業中に経験されるマインドワンダリングの特性やマインドワンダリングの開始、継続、終了を司るメカニズムを明らかにすることを目的とする。2023年度には多数の大学生を対象としたオンライン事態における研究を実施し、大学での授業中に経験される意図的・無意図的なマインドワンダリングの特性や、授業中にマインドワンダリングを経験する程度の規定因等についての検討を行った。その結果、マインドワンダリング中の思考内容には、学習者自身にとっての重要度が高いものが含まれていることや、学習者の空想傾向の高さと授業中にマインドワンダリングを経験する傾向との間に有意な正の相関が見られることが明らかになった。また、授業内容と関連はあるが、現在呈示されている情報とは直接関連しない思考を経験する程度が、意図的なマインドワンダリングを経験しやすい個人特性と関連していることも示唆された。さらに、授業中のマインドワンダリングを防止するためにどのような工夫がなされているのかについての実態の一端が示された。本研究の成果は、日本心理学会第88回大会や33rd International Congress of Psychology等にて発表される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
授業場面におけるマインドワンダリングの内実やその規定因、マインドワンダリングの低減を目的として実施されている教育上の工夫の一端が明らかにされるなど、一定の成果が得られている。また、授業内容との間に関連性はあるものの現在授業内で呈示されている情報とは直接関連しない事項に関する思考についての興味深い知見も示されている。さらにそれらの成果は2024年度中に国際学会・国内学会において発表される予定である。
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今後の研究の推進方策 |
授業内容とは関連するものの、現在呈示されている情報とは異なることについての意図的・無意図的な思考の重要性や特性が近年明らかにされつつある。本研究でも、授業無関連思考だけに焦点を絞るのではなく、授業内容との間に何らかの関連性を持つ思考の規定因や機能についても検討対象とすることにより、授業場面におけるマインドワンダリング現象の全体像の解明に取り組む。
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