研究課題/領域番号 |
23K02893
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
岡田 涼 香川大学, 教育学部, 准教授 (70581817)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 動機づけ / 学習に困難を抱える児童・生徒 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,通常学級の授業場面で学習に困難を抱える児童・生徒の動機づけ支援の具体的方策を明らかにすることを目的とする。そのために,先行研究の系統的レビュー,児童・生徒に対する質問紙調査,教員に対する面接調査,授業観察を行う。一連の研究知見をもとに,通常学級において学習に困難を抱える児童・生徒が意欲的に学ぶための支援のあり方を動機づけ理論の点から明らかにする。また,その知見を広く学校現場に還元する。
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研究実績の概要 |
本研究では,通常学級の授業場面で学習に困難を抱える児童・生徒の動機づけを支えるための具体的方策を明らかにすることを目的としている。初年度にあたる2023年度には、具体的方策を検討する実証的基盤を整理するために、先行研究の知見を系統的にレビューすることを計画していた。計画に沿って、系統的レビューによって、LD児の学習動機づけに関する先行研究を収集し、その知見をメタ分析を用いて数量的に統合した。その結果、LD児は非LD児に比べて、内発的動機づけなどの学業達成にとって重要な役割を果たす動機づけの側面にその特徴があることが示された。このことから、通常学級における支援方策を考えるうえで、内発的動機づけの促進に関する理論的メカニズムを援用し得ることが明らかになった。この研究結果については、学会発表および学術論文としての公表に向けての準備中である。 また、小学生児童に対する調査データを用いて、授業における交流活動と授業展開の明確化が内発的動機づけに与える影響について検討した。その結果、学習に困難を抱えている児童においては、授業展開の明確化は内発的動機づけと関連するものの、交流活動は関連を示さなかった。この結果から、授業時における指導や活動設定における配慮の必要性が示された。この研究結果は、2023年度において学会発表および学術論文として公表した。 さらに、2024年度に向けて、教師の指導行動の観察研究の準備を進めた。指導行動の観察カテゴリを設定するために、関連の研究知見についてナラティブレビューを行い、観察カテゴリを設定した。観察に協力してもらう学校との協議、日程調整を行い、2024年度前半から観察を開始する予定である。同時に、ナラティブレビューの結果については、学術論文として執筆し、2024年度に公表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在の進捗状況としては、事前の計画からやや遅れていると考えている。計画に沿って、先行研究の知見をレビューし、メタ分析としてまとめることは完了した。また、観察研究の準備として、ナラティブレビューを行い、観察カテゴリを設定することはできている。しかし、実際の観察に着手することはできていない。理由としては、観察に協力してもらう学校との交渉・調整に時間を要したためである。しかし、調整はすでに完了しており、また観察カテゴリも設定済みであるため、2024年度の前半から観察を開始することができる予定である。また、2024年度に実施予定の調査研究に関しては、2023年度に予備的に調査データの分析を行うと同時に、関連研究のレビューから調査項目の設定を行っている。これについては、概ね予定通りに進展していると考えている。研究計画全般としては、一部に当初から遅れがあるため「やや遅れている」と判断するが、2024年度の実施においては順調に遂行できることが予想できる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度においては、まず2023年度から準備を進めてきた授業観察研究を実施する。すでに確定している観察カテゴリをもとに、主に小学校での授業観察を行う。授業観察で選られたデータに対して発話プロトコルを作成し、カテゴリに基づいた分析を行う。同時に、提供を受けた指導案等をもとに、授業展開を含めた質的分析を加える予定である。これは、研究レビューおよび予備的な授業観察から、質的な側面の情報を併せて分析することの必要性が示されたためである。研究結果については、2024年度末もしくは2025年度前半での学会発表を予定している。また、同時に準備を進めてきた調査研究についても、2024年度に実施予定である。現在、調査項目の検討は概ね終了しており、2024年度の前半中に協力校との協議に入ることを計画している。2023年度の研究成果も含めて、研究期間中には継続的に学校現場への還元を普及を行う。校内研修や教育委員会の研修等において、研究成果の解説や紹介を行っていく。
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