研究課題/領域番号 |
23K02921
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 跡見学園女子大学 |
研究代表者 |
宮岡 佳子 跡見学園女子大学, 心理学部, 教授 (00190736)
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研究分担者 |
丹治 和世 公益財団法人神経研究所, 研究部, 研究員 (20512619)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 発達障害 / 自閉スペクトラム症 / ADHD / 成人期 / 女性 / カモフラージュ / 成人期発達障害 / 集団精神療法 / 注意欠如多動症 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、成人期の発達障害者が増加している。成人期発達障害の多くは、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如多動症(ADHD)である。心理社会的治療として、成人期発達障害専門のデイケアも少しずつ増加している。しかしデイケアに参加できない場合も多い。また、発達障害は男性に多い疾患であるため、女性にはあまり焦点が当てられなかった。そこで、成人期発達障害の女性に対し、外来にて集団精神療法を試みる。。本研究で、①成人期発達障害の女性に対するウェブ調査を行い、心理的特徴や支援ニーズを調べる。②その結果も反映させ、成人期発達障害の女性を対象とした集団精神療法プログラムを開発し、効果を測定する。
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研究実績の概要 |
初年度である2023年には、予備研究として成人期発達障害女性の臨床的特徴、ストレスとその対処等をウエブを通じて質問紙調査を行った。対象は、発達障害と診断されて治療中の成人女性(18~59歳)150名である。対象者の発達障害の具体的病名の内訳は、自閉スペクトラム症(ASD)33.3%、注意欠如多動症(ADHD)42.2%であった。この中には両方が併存している者も含まれる。その他は1.3%と少なかった。具体的病名を知らない者が33.3%もおり、疾病教育の重要性が示唆された。 発達障害者は、周囲に症状や障害特性がわからないようにふるまうカモフラージュ(camouflaging)を行うことがあり、男性よりも女性に多いとされる。カモフラージュは周囲との摩擦を回避するための対処行動ともとらえられる。そこでカモフラージュに注目して調査を行った。対象者のカモフラージュ傾向を調べ、カモフラージュ傾向を高群と低群にわけて検討した。自己の切り替えに関して、高群では、無意識的にも意識的にも自己を切り替える傾向が強かった。高群のほうが、うつ症状が強く、併存する精神疾患の数が多く、デイケアに通所している者が多かった。カモフラージュは精神状態の悪さとの関連が示された。カモフラージュが対処行動として本人の精神状態の改善に役立っているのか、あるいは状態が悪いほどカモフラージュをするのかなど今後考察を進めたい。 今回のアンケートでは、健常女性(精神科通院歴のない者)150名も対照群として調査している。今後対照群との比較を通して、成人期発達障害女性の困難とその対処について分析を続ける予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ウエブアンケートを行うことができ、今後の集団療法プログラム作成のために、成人期発達障害女性が抱える問題点を抽出することができた。具体的な困難とそれへの対処行動についても調査をしており、2024年度も引き続き分析を続ける予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、2023年度に行ったウエブアンケートのデータを基にさらなる分析を行う予定である。また、女子大学生を対象とした集団心理教育プログラムを作成し、実施する予定である。最終的な目標である、成人期発達障害女性の通院集団療法プログラムの開発の予備的研究として行う。
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