研究課題/領域番号 |
23K02922
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 埼玉学園大学 |
研究代表者 |
伊里 綾子 埼玉学園大学, 人間学部, 講師 (20712897)
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研究分担者 |
福島 哲夫 大妻女子大学, 人間関係学部, 教授 (60316916)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | エピソード的未来思考 / 希望 / 絶望感 / 主観的幸福感 / 楽観性 / 悲観性 / 予期 / 抑うつ / hope / episodic future thinking / episodic memory / expectation |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、まず、希望と精神的健康の関連について、オンライン調査を用いて明らかにする。また、未来への希望が過去についてのエピソード記憶(個人的体験に関する記憶)からどのような影響を受けるかについて、磁気共鳴機能画像法(fMRI)を用いた実験によって、その神経基盤を明らかにする。さらに、心理療法による効果研究によって、心理療法で過去を扱うことが未来への希望にどのような影響を及ぼすかを検討する。
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研究実績の概要 |
令和5年度は,ポジティブな出来事の予期の強さと精神的健康の関連を検討した。また,ポジティブな出来事の予期の程度に,エピソード的未来思考の詳細さがどのように影響するかについて,近い将来から遠い将来までの時間的距離に応じた検討を行った。 具体的には,20代から50代の男女888名にオンライン調査を実施し,現在・1年後・10年後のそれぞれの視点からこの先1か月にポジティブ・ネガティブな出来事がどの程度起こりそうかを予測する未来予測課題,ベック絶望感尺度,人生に対する満足感尺度,ベック抑うつ質問票等に回答を求めた。また,未来予測課題で提示された出来事をイメージするよう求めたうえで,どの程度鮮明なイメージが浮かんだか,イメージがどの程度過去の体験と一致しているか,実際に体験しているような感覚が生じたかを7件法で尋ねた。 未来予測課題についてのクラスター分析の結果から対象者を5群に分類し,群ごとの違いを検討したところ,他の群に比べポジティブ・ネガティブな予期が共に弱い群で絶望感や抑うつ症状が最も強く,主観的幸福感が最も低いことが明らかになった。これは単にネガティブな予期の強さやポジティブな予期の弱さが精神的健康を損なうリスクとなるのではなく,快であれ不快であれ,将来への予期が生じにくい状態が精神的健康度の低さに繋がる可能性を示す知見であると考えられる。 また,現在・1年後・10年後のおおよそどの時期についての予測においても,過去の体験とイメージの一致が,実際に体験している感覚を介してポジティブ・ネガティブな出来事の予期の強さに影響していることが明らかになった。さらに,イメージの鮮明さも,実際に体験している感覚を介してポジティブ・ネガティブな出来事の予期の強さに影響を及ぼしていた。よって,過去を鮮明に想起していくことが,ポジティブな出来事の予期を強めることに繋がるという可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,令和5年度中にオンライン調査を実施することができたため。また,調査結果についての分析も順調に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度はfMRIを用いて,ポジティブなエピソード記憶の詳細な想起がポジティブなエピソード的未来思考の詳細さを向上させることに繋がるかどうかと,その神経メカニズムを明らかにする研究の計画を立て,実施に繋げる予定であった。 しかし,オンライン調査で実施した未来予測課題のクラスター分析の結果,新たな知見としてポジティブな予期の弱さだけでなく,ポジティブおよびネガティブな予期が共に弱いことが精神的健康を損ねるリスクとなり得る可能性が示されたことから,そのような一群にどのような介入を行うことが有効かをさらに検討することは重要と考えられる。 よって,当初の計画に加え,もう一度追跡のオンライン調査を実施し,令和5年度の調査でポジティブ・ネガティブな予期の両者が弱いクラスターに分類された対象者が,追跡調査で他のどのようなクラスターに移行しているかを確認する。それによって,ポジティブおよびネガティブ両者の予期が弱い群にどのような介入を行うことが予期の変化に繋がりやすいかについて追加の検討を行うこととする。この調査を行ったうえで,fMRIを用いた研究の計画を再度立て直すこととする。
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