研究課題/領域番号 |
23K02933
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
西口 雄基 千葉大学, 教育学部, 准教授 (50781910)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 抑うつ / 認知バイアス / 心理的適応 / ソーシャルサポート / 認知機能 / 学習 |
研究開始時の研究の概要 |
抑うつ状態では、ネガティブに偏った認知である抑うつ的認知が生じ、ものの見方がネガティブに偏りやすく、さらにそれがポジティブに修正されにくい。本研究ではこのメカニズムを学習における予測更新の困難という視点から検証する。抑うつによる実行機能の低下が学習を阻害し、予測の修正を困難にしているのではないかという仮説を立て、実験によってこれを検証する。
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研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、認知心理学的な手法を活かし、抑うつを中心とした心理的不適応における特徴的な認知が生じる原因を探ることである。特に、抑うつにおけるネガティブな予測が更新されない原因と考えられるマインドワンダリングなどの影響について認知実験を用いて検証することが中心的な目標だが、2023年度の研究では、本研究で必要な認知実験を実施するための準備として、オンラインで実施できる実験プログラムを用いて実験課題のプログラミングおよび予備実験を行うことができた。実際に複数人に予備実験を行うことができ、2024年度にはおおむね問題なく実験が実施できる見込みである。これに並行して、こうした実験の手法を活かし、共同研究として自閉スペクトラム症とその認知特性に関する研究を進めることができた。また、本年度は研究体制の拡充のため、共同研究者を招いて研究会(「東日本認知臨床心理学ネットワーク第一回研究会」)を開催し、現時点での研究成果についてお互いに発表しあう機会を設けることができた。共同研究者との議論から、本研究課題に関わる複数の共同研究の展開が期待できる結果となった。その他、発展的な研究として、オンライン調査を利用した心理的不適応とパーソナリティ特性に関する研究や、対人関係が抑うつを中心とした心理的な適応に与える影響についても検証することができた。これらの研究成果については、2024年度までに論文や学会発表としてまとめ、公表していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題を通して、複数の認知実験を行うことを計画している。2023年度にはこの実験の準備を進めることができ、予備実験を行うことができた。また、こうした実験の手法を活かして新しい共同研究を進めることもできた。一方で、目標としては本年度中に1つめの実験のサンプル収集を完了し、データの分析等を行いたいと考えていたが、本年度はそこまでの進捗を作ることができなかった。この理由としては、本年度には研究基盤を整えることが必要であったため、研究設備や研究体制の準備、共同研究体制の拡充などを進めていたことが挙げられる。これによって想定していたより実験研究の進捗が遅れてしまったが、一方で、研究体制を整備したことによって共同研究を実際に実施することができたり、研究会の中で新しい共同研究のアイディアを共有することができたりと、当初想定していた以上に発展的に研究が進められた部分もあった。そのため、総合的に判断すればおおむね順調に進展していると言える進捗を得られた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度からの研究では、まず認知実験を実際に実施していく。既に実験プログラムは作成しているため、スムーズに実験を実施することが可能である。また、2023年度に得られたいくつかの研究成果について、既に論文にしたものを出版したり、学会に発表したりするなどの形で成果発表を行いたい。さらに、本年度研究体制を拡充することができたため、いくつかの共同研究が本研究の中で実施できる見込みである。一つ目は本研究における認知心理学的な手法を活かした共同研究で、自閉スペクトラム症の認知特性についても検証の対象を広げたものである。もう一つは、抑うつが長期化し、ネガティブな認知が修正されない原因として、もともと想定していた個人の認知レベルの原因だけではなく、対人関係における要因、特にソーシャルサポートの授受に関する個人差を対象に行う研究である。もともと想定していた抑うつの認知心理学的な研究を軸にしながら、発展的な共同研究についても継続的に進め、積極的に成果の発表を行っていきたい。
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