研究課題/領域番号 |
23K02948
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 四天王寺大学 |
研究代表者 |
鈴木 浩太 四天王寺大学, 教育学部, 准教授 (20637673)
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研究分担者 |
加賀 佳美 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (20436877)
北 洋輔 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (90627978)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | DCD / ADHD / アセスメント |
研究開始時の研究の概要 |
注意欠如・多動性症(ADHD)と発達性協調運動症(DCD)を鑑別することは困難である。本研究では、ADHDとDCDの正確な鑑別・評価法を確立することを目的にする。本研究には、行動観察チェックリストと脳機能検査の開発が含まれる。行動観察チェックリストの開発では、検査者が、運動検査中に観察されるADHDとDCDの特徴を評価するチェックリストを開発する。専門家の自由記述に基づき項目を作成し、大規模調査でADHDとDCDを判別することができる項目を選別する。脳機能検査の開発では、脳波を計測し、ADHD、DCD、併存例の詳細な特徴を明らかにし、脳機能に基づく客観的な評価法を開発する。
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研究実績の概要 |
注意欠如・多動性症(ADHD)と発達性協調運動症(DCD)は、類似した場面で困難さを抱えるため、ADHDとDCDを鑑別することは困難である。本研究では、ADHDとDCDの正確な鑑別・評価法を確立することを目的にする。そこで、行動観察チェックリストと脳機能検査の開発をめざしている。行動観察チェックリストの開発のために、既存の尺度を購入し、行動観察チェックリストに使用できる項目の収集を行った。しかし、DCDの診断ツールの最新版であるMovement Assessment Battery for Children, Third Edition (MABC-3)の販売が遅れ、2023年度に入手することができなかった。2024年度に、MABC-3も購入し、この検査に関連した項目も加える予定である。また、医療機関で心理検査を実施している心理士にインタビューを行っている。インタビューから、自閉スペクトラム症(ASD)や限局性学習症(SLD)の項目も加えた方がよいと判断された。そのため、ADHD、DCD、ASD、SLDの項目を含む行動観察チェックリストを作成する予定である。今後、さらにインタビューのデータを蓄積していき、行動観察チェックリストを作成する予定である。脳機能検査の開発のために、予備的に、成人を対象にした脳波の実験を実施した。脳波のデータを分析し、フランカー課題の順行性制御のメカニズムを明らかにしている。今後、子どものデータを収集していき、脳機能検査として活用できるのか、検討する予定である。また、ADHDに関する抑制機能の文献を収集し、論文としてまとめた。特に、Nogo-P3に着目し、脳機能の指標を検査に臨床応用する際の限界について論じた。この論文が国内誌「生理心理学と精神生理学」に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、ADHDとDCDの鑑別方法を提案することである。DCDの診断ツールであるMovement 本研究は、ADHDとDCDの鑑別方法を提案することである。DCDの診断ツールであるMovement Assessment Battery for Children, Second Edition (MABC-2)がMABC-3 に改定され、2023年秋に販売される予定であった(両者ともに英語版)。国際的に活用できるチェックリストにするために、MABC-3の項目についても考慮することを検討している。しかし、MABC-3の販売が遅れ、2023年度に入手することができなかった。このような事情があるものの、Conners 3 日本語版などの尺度は入手し、行動観察チェックリストの項目案を作成している。医療機関で心理検査を実施している心理士にインタビューを行った。現在のところデータが不足しているが、複数の医療機関に依頼文を送付しており、十分なインタビューデータが収集できる予定である。そのため、2024年度中には、行動観察チェックリストの項目が作成できると見込みである。また、脳機能検査の開発のための脳波データの収集も順調に進んでいる。フランカー課題遂行中の脳波を記録しており、予備的なものも含まて、150名のデータが得られている。また、ADHDの脳機能に関する文献レビューを行った。抑制機能、特にNogo-P3に着目してADHDの特徴を検討した。脳機能の指標を検査に活用する際の限界について論じた。この論文が国内誌「生理心理学と精神生理学」に掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
行動観察チェックリストに関して、インタビューのデータを収集しているところである。インタビューの中で、ADHDとDCDだけでなく、自閉スペクトラム症(ASD)や限局性学習症(SLD)についても行動上の評価を行っていることが明らかになった。行動観察チェックリストにASDやSLDの項目を追加したほうが臨床上活用しやすいと判断された。そこで、ASDとSLDに項目も加えて、行動観察チェックリストの項目を作成していく予定である。今後、インタビューのデータを集積していく。既存の尺度、インタビューデータを含めて、行動観察チェックリストの案を作成し、研究体制内外で議論を重ねていく中で、今年度中に行動観察チェックリストを完成させる。また、フランカー課題遂行中の脳波の記録、ADHDに関する脳機能の文献検討を行っている。今後、フランカー課題の脳波の分析を行い、順行性制御のメカニズムを明らかにする。これらの知見に基づき、脳機能検査の開発のために、データを収集していく。
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