研究課題/領域番号 |
23K02957
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金生 由紀子 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (00233916)
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研究分担者 |
松田 なつみ 白百合女子大学, 人間総合学部, 講師 (20814685)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | トゥレット症 / チック / 成人 / 女性 / QOL / 性差 / 生活の質(QOL) |
研究開始時の研究の概要 |
トゥレット症は、運動チックと音声チックの両方を有する慢性チック症である。男性に多く、成人期までにチックが軽快している場合が多いことから、男性の小児患者を中心に知見が蓄積されてきた。成人期には、治療・支援機関が著しく少なく、治療の柱の一つであるチックのための包括的行動的介入(CBIT)という認知行動療法の効果がやや低く、感覚現象をほぼ全例で認めるなどの特徴を踏まえて、成人患者のニーズに応えることが求められる。そこで、本研究では、成人期のトゥレット症患者について、実態を把握して性別による特徴を考慮して検討を加える。それに基づいて、インターネットベースの対応ツールを開発し、その有用性を検討する。
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研究実績の概要 |
トゥレット症は、運動チックと音声チックの両方を有する慢性チック症であり、男性の小児患者を中心に知見が蓄積されており、成人患者、特に女性の成人患者のニーズへの対応が不十分であると思われる。そこで、成人患者、女性患者の実態を把握して、そのニーズに合致するような対応ツールを開発することを目指している。 2023年度は、トゥレット症を中心とする慢性チック症における性差に関する先行研究を検討した。女性患者では、チックの発症が遅く、チックの重症度がピークに達する時期が遅く、年齢が上がるにつれて男性よりも重症度が高くなり、チックによる社会機能の障害がより重いとの報告があった。併存症については、注意欠如多動症(ADHD)の有病率が低いとされたが、女性ではADHDが診断されにくい影響があるとの指摘もあった。不安やうつという情緒的問題がより顕著であるともされた。また、女性の若年成人患者を対象として、自己同一性及び心理的ウェルビーイングに関するトゥレット症の影響についてインタビューをして、トゥレット症は自分の一部であってどこにもいかないと感じると同時に、自分は標準的ではないとか自己犠牲をして他者を楽しませる人であると認識していたとの報告があった。 以上より、質的研究、量的研究共に重要であると確認され、質的研究のためのインタビューガイドの検討を行った。トゥレット症の影響に関する認識、女性であることによってトゥレット症の影響がより強いと感じる点などの主な項目を定めて、倫理申請の作業を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は、文献検討などを通じて、成人患者、特に女性成人患者の特徴や支援ニーズについて今後どのような点を明らかにするとよいかを検討して、本格的に情報収集をする方法を整備することになっていた。先行研究を精査し、女性成人患者の臨床経験も踏まえて検討を加えて、質的研究によって支援ニーズなどを十分に把握してから、量的研究を行うことが望ましいと判断した。質的研究の進め方やインタビューガイドの検討を重ねるのに時間がかかり、倫理申請を行ったものの、年度内にはインタビューの開始に至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
東大病院通院中の女性の成人患者で研究協力を依頼できる可能性のある者が10名程度いるので、倫理申請が許可されたら、インフォームドコンセントの得られた方についてインタビューを開始する。 2024年度の前半はインタビューの実施と解析に加えて、女性の成人患者の特徴や支援ニーズを把握するために質問紙調査の準備を進める。2024年度中に質問紙調査を実施して、2025年度にそれを踏まえた対応ツールを作成する。
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