研究課題/領域番号 |
23K02959
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
狐塚 貴博 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (00739526)
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研究分担者 |
板倉 憲政 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (20708383)
野口 修司 香川大学, 医学部, 准教授 (40813431)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 災害 / 心理支援 / 家族 / 危機支援 / ガイドライン / デルファイ法 |
研究開始時の研究の概要 |
大規模災害といった危機状況に際し、被災者を取り巻く家族への働きかけのあり方に関する知見の蓄積が課題となっている。本研究では、大規模自然災害の心理・社会的支援に、家族の自助資源を含めた、災害時の家族支援のガイドラインを検討する。被災者の身近な存在である家族がサポート源として機能するために、支援者はどのような理念を持ち、どのような心理的アプローチを行う必要があるのかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
当該年度は、災害時の心理社会的支援やトラウマに関する主要なガイドライン、家族レジリエンス、あいまいな喪失、本研究チームメンバーが行った東日本大震災における実践型研究を手掛かりに、家族に焦点化した災害時の心理支援に関する項目(以下、心理支援項目)の作成を行った。本研究チームのメンバーのそれぞれの専門性から項目の提案と議論を通した項目の修正と削除、追加を繰り返し行った。 (1)すべてのフェーズに共通する家族関係を基盤とする心理社会的支援の原則、(2)発災直後から概ね避難所等の仮住まいで落ち着かない生活を送る時期、(3)元の住居、地域に戻れない人々もいるが、インフラが整い、居住環境が安定し、概ね生活が落ち着いてきた時期という3つのフェーズ軸に検討を重ねた。 最終的に、災害時の心理社会的支援に関する知識と技術の習得、特別な配慮、今現在の問題へ着目する、アセスメント、ニーズの把握と情報提供などの理念13項目、安全・安心の確保、ストレス反応の一般化、リソースや強みの活性化、効力感の促進、発災後のストレス反応への対処などの初期フェーズ5項目、問題のパターンを整理する、被災体験と切り離す、家族の発達段階を考慮する、重篤なストレス反応への対応、表現の保障などの中長期フェーズ12項目、計29項目を原案として心理支援項目を作成することができた。 また、ガイドライン作成の軸となる家族レジリエンスに関する文献レビューを通して得られた知見と課題をまとめ、学会発表を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予備調査として災害時に家族支援を行った経験を有する心理職を対象としたインタビューを予定していたが、項目の作成が想定以上に時間と労力を要したため、実施できなかった。しかし、当該年度の中心的な検討課題であった、家族に焦点化した災害時の心理支援に関する項目について、理念、初期フェーズ、中長期フェーズに整理し、計29項目を作成できた。この点において、おおむね順調に進展している、と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
ガイドラインの原案として心理支援項目、計29項目の作成ができたため、早急に、災害時に家族支援を行った経験を有する心理職を対象としたインタビューを行い、心理支援項目の妥当性に関するチェックを行う。その上で、専門家間の合意形成プロセスにより心理支援項目を精緻化していく。具体的には、心理学的観点から災害時に家族支援を行った経験を有する心理職に対し、Delphi法を用いたオンライン調査(オンライン上にプラットホームを構築)を行う。なお、研究協力者は100名を目指してリクルートし、繰り返し3回に渡り項目の評価を行う。研究実施者は、研究協力者の評価とコメントを基に議論し、合意率を高められるよう項目を精緻化していく。この過程を経て、ガイドランを作成する。
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