研究課題/領域番号 |
23K02969
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
松田 英子 東洋大学, 社会学部, 教授 (30327233)
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研究分担者 |
松岡 和生 岩手大学, 人文社会科学部, 嘱託教授 (50209508)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 悪夢 / イメージ・リスクリプト / 認知行動療法 / イメージリハーサルセラピー / 明晰夢 / 生涯発達 / 睡眠実験 / VR実験 |
研究開始時の研究の概要 |
悪夢治療に関する非薬理学的方法のガイドラインには,イメージを媒介とする認知行動療法の各技法が推奨されている。申請者はこれまで悪夢や不眠症を含む睡眠障害に関する認知行動療法の支援効果を検討してきた。さらに研究を発展させ,悪夢の階層に関わらず,悪夢の悲劇的な筋書きをトラブルの事態に対処するような肯定的なイメージに書き換える簡便な方法,すなわち「イメージ・リスクリプト(image rescript)」の治療効果と悪夢障害の予防効果について検証する。児童期から老年期までの研究参加者の悪夢低減効果を検証することは,メンタルヘルスの維持と増進のために重要な課題である。
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研究実績の概要 |
悪夢は心理生理社会的要因で起きる睡眠中の体験で,幼児期,児童期,青年期,成人期,老年期とあらゆる生涯発達の期間でみられる。悪夢は自殺のリスク等健康状況悪化の予測因として注目されており,これまでに悪夢低減のための認知行動療法(イメージリハーサルセラピーや明晰夢)の効果研究を進めてきた。
本研究課題では,悪夢の悲劇的な筋書きをトラブルの事態に対処するような肯定的なイメージに書き換える簡便な方法,すなわち「イメージ・リスクリプト(imagerescript)」の治療と予防効果について検証するために、初年度は以下の研究を行った。①教育分野と産業分野におけるイメージ・リスクリプトを用いた心理臨床面接を実施する,悪夢の事例研究を行った。具体的には,悪夢では殺傷,死別・離別,追い詰められるなどが典型的なテーマであるが,反撃する,逃げる,主張する,援助される等の筋書きに書き換え,肯定的な結末にする技法の悪夢低減効果の事例検討を行った。②非臨床サンプル(小学生,大学生,社会人)を対象にしたイメージ・リスクリプトの実験を行い,悪夢低減効果を検証した。リスクリプトの仕方に文化差があるかも付加的に検討を進めている。③この先に予定されている,イメージ・リスクリプトの介入効果の検証を行った事例実験(VR実験)や睡眠実験を行うために,VRの研究者,脳波や脳画像の研究者との研究交流から、準備を進めている。④その他,幼児の睡眠と夢,軽度知的障害生徒の睡眠と夢についての基礎調査も行い,イメージリスクリプトの効果と限界の検討にむけて準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題に関わる課題のすべてに着手している。①イメージ・リスクリプトという認知行動技法の効果を検証する実験(VR実験と睡眠実験を含む)の準備を行っている。②通常のイメージ・リスクリプト介入実験を日本(大学生と小学生)とカナダ(大学生)で実施している。③悪夢を合併する精神障害ごとの治療に適した認知行動療法の技法と限界を検討するため、不眠症、PTSD、不安障害、発達障害の合併事例の治療経過について検討し、治療構造についての提案している。④年代別の悪夢治療に適した認知行動療法の技法の期待できる効果と限界について、教育臨床場面における児童と青年期の悪夢の事例研究と、産業臨床場面における成人までの悪夢の事例研究を行って議論している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究実績をさらに進めるため、以下の研究を行う予定である。①イメージ・リスクリプトという認知行動技法の効果を検証する実験(VR実験と睡眠実験を含む)の準備を進めて、実験環境を整える。②イメージ・リスクリプトの介入実験を日本(中高年)で実施する。③悪夢を合併する精神障害について、レム睡眠行動障害と軽度知的障害を取り上げ、認知行動療法の技法と限界を検討する。④年代別の悪夢治療に適した認知行動療法の技法の期待できる効果と限界について議論するために、幼児と中高年の事例研究を行う。
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