研究課題/領域番号 |
23K02976
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
高岸 百合子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 認知行動療法センター, 客員研究員 (40578564)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 認知処理療法 / 心的外傷後ストレス障害 / アルコール使用障害 / PTSD / 治療ギャップ / 心理業法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,心的外傷後ストレス障害 (PTSD) とアルコール使用障害 (AUD) の併存症 (PTSD/AUD) に対する治療が十分に行われていない現状に鑑み,次の2点を行う。 ① PTSD/AUDに対する認知処理療法の実施可能性,安全性,有効性の検証 ② PTSD/AUDの治療ギャップの要因解明
本研究では,PTSD/AUDに対して認知処理療法 (Cognitive Processing Therapy:CPT) の臨床試験を行い,PTSD/AUDの治療に有用な選択肢を加えることを目指す。加えて,患者,及び医療者のそれぞれの立場において存在する治療導入の障壁を明らかにし,PTSD/AUDに対する治療を促進するための方策を提供することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は,アルコール使用障害(AUD)を併発した心的外傷後ストレス障害(PTSD)患者(PTSD/AUD)12例を対象に,PTSDに特化した心理療法である認知処理療法(Cognitive Processing Therapy: CPT)を実施し,実施可能性,安全性,予備的有効性を検討することを第一の目的とする。また,PTSD/AUDの治療ニーズと提供される治療・支援との間に生じるギャップの要因について,調査を元に解明することを第二の目的とする。 今年度は主に,第一の目的に達するための試みを行なった。具体的には,前身となる研究において整えた治療プロトコル及び研究手順書を用いて,臨床試験を継続して実施した(jRCTにて研究計画公開済。jRCT1030210374)。試験では,通常治療に加えてCPTを実施し,単群前後比較のデザインを採っている。治療内容はPTSDのみを介入対象としたオリジナルのCPTプロトコルを踏襲しながら,導入前に,治療への動機づけを高めるとともにAUDの問題への対処を話し合うセッションを設けている。 試験実施に付随する実績として,研究参加者のリクルートを促進するため,他部署・機関との連携強化を図った。具体的には,国立精神・神経医療研究センター病院との情報交換機会を増やすとともに,アルコール医療を専門とする医療機関に対して広報活動を行った。加えて,CPTの実施に係るQ&A冊子を印刷・配布した。 リクルート状況としては,本年度中までに,試験への参加に対して7名の紹介があり,うち6名が登録となった(目標例数に対する達成率50%)。 研究成果としては,上記取り組みに関連して,国内学会において2件の学会発表を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床試験において,2025年度中に最小症例数の登録完了を目指しているのに対し,目標例数に対する達成率が現時点で50%であることから,試験の進捗は順調であると判断した。 調査研究については,研究計画時は本年度中の実施を予定していたが,状況の変化に即応して,研究疑問と調査実施時期の再検討を行なっている。具体的には,社会の状況の変遷から,トラウマインフォームドケアの概念が広がり,対人支援に携わる者に加えて一般市民においても,トラウマ体験に係る支援のリテラシーが向上していると想定できる。試験におけるリクルートが順調に推移していることにも,既述のような情勢の変化が寄与している可能性が考えられる。こうした背景から,調査実施は延期することとした。
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り,順調に推移している臨床試験については,次年度以降も現行の体制を維持し,遂行する。 調査研究については,最新の学術的な知見を集めるほか,他部署・他機関との連携の中で,臨床現場に生じている問題や課題について情報を集める。それらを元に研究疑問の再考を進める。
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