研究課題/領域番号 |
23K03000
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田邊 亜澄 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (50589728)
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研究分担者 |
石橋 遼 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター, 研究員 (90750266)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 展望記憶 / ワーキングメモリ / 認知制御 / 想像 / 行為表象 / 視覚認知 |
研究開始時の研究の概要 |
近い未来にすべき行為の記憶である展望記憶成績を向上させる方法に、実行すべき行為の内容(意図)を想像するという方略があるが、どのような認知過程で展望記憶に寄与するのか明らかでない。本研究は、想像が持つ要因として「視覚的符号化」「行為表象」「自己関連付け」の3つに着目し、視覚的符号化要因のみを持つ「静的想像」方略、視覚的符号化と行為表象の要因を持つ「他者想像」方略と従来の想像方略を比較することで、どの要因が展望記憶を向上させるのか検証する。さらに、展望記憶課題の遂行時に各要因が実際に寄与しているか脳イメージング法を用いて検討する。
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研究実績の概要 |
2023年度では、本研究に使用する課題の吟味を行った。本研究でターゲットにしている展望記憶は、近い未来にやるべきことを記憶しておくという認知機能であり、日常生活に即した観察だけでなく実験室実験の手法も多数研究されている。そこで、展望記憶課題における方略を扱った学術論文を収集し、それぞれどのような実験課題を設定していたのか検討した。展望記憶課題でもっともシンプルな語彙判断課題に、なんらかの焦点課題を追加する二重課題の形式で実施している研究が多くあったことから、語彙判断課題と焦点課題の二重課題の形式に従って日本語で実施できるよう課題を準備中である。 また、展望記憶課題の遅延期間に実施するワーキングメモリ課題として、研究代表者が開発してきたピクチャースパンテストの使用を検討した。これは風景画像を提示し、実験参加者は風景の意味的文脈を判断しながら指示された部分を記憶するという課題である。ピクチャースパンテスト遂行中の脳活動をfunctional Magnetic Resonance imaging (fMRI)によって測定し、課題遂行に関連する情報を選択的に保持する機能が必要になると示唆される結果を得た。この認知機能は、複数の情報が提示され課題目的な情報を選択的に処理するために展望記憶にも必要だと考えられる。展望記憶課題遂行時に併せてピクチャースパンテストを実施することで、ワーキングメモリの個人差が展望記憶の方略効果を説明可能かどうか、より詳細に検討できると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの展望記憶研究でさまざまな課題が考案されてきたため、本研究で方略の効果を検討するにはどういった課題が適しているのか検討する必要がある。2023年度では先行研究レビューを実施し、語彙判断課題を背景課題とする展望記憶課題に焦点を定めた。課題に使用するための日本語単語データベースを準備中である。 また、展望記憶を支える認知機能にワーキングメモリがあげられることから、ワーキングメモリとの関係も併せて調査していくことの重要性が示された。ワーキングメモリとの関係も検討するために、展望記憶課題とワーキングメモリ課題を同時に実施する手法を考案した。展望記憶課題では課題の教示の後、教示内容の記憶を一時不活性化させるため、実際の課題実施までの遅延時間が設定される。今回の研究ではこの遅延時間の間にワーキングメモリ容量測定課題を実施することに決定した。このことで、展望記憶の不活性化とワーキングメモリ容量の測定の両方を効率的に実施できる。 さらに、想定しているワーキングメモリ課題の認知過程を調べるfMRI実験を行い、課題無関連な情報がボトムアップ注意をひきつける状況で上頭頂小葉が活性化すると課題成績が下がることがわかった。上頭頂小葉は空間的注意やワーキングメモリに保持する情報の操作に関与することが知られており、課題遂行中に課題目的関連情報を選択的に保持する能力が必要になることを示しているのではないかと考えられる。この能力は展望記憶にも必要になると予測される。
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今後の研究の推進方策 |
実験課題については概ね準備が整ったので、2024年度からは実験実施を進めていく。 行動実験の結果に基づき、展望記憶遂行における想像方略の認知過程についての仮説を絞りこんでいく。またその検証のためにfMRI実験も実施する。
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