研究課題/領域番号 |
23K03002
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
坪見 博之 富山大学, 学術研究部人文科学系, 准教授 (70447986)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 記憶 / 知覚 / ワーキングメモリ |
研究開始時の研究の概要 |
視覚の重要な機能は、さまざまな物体を比較し差異や同一性を認識することである。例えば、我々は果物の色や形を見比べて好きなものを手に取る。また子どもは、犬や猫の特徴を見比べて動物のカテゴリを学習する。これらの比較は、眼球運動や注意の移動によって物体を一つ一つ見ることで行われる。そこでワーキングメモリは、先に見た内容を一時的に記憶し、現在の知覚内容との比較照合を進める役割を担う。しかし比較照合が、実際に「どのように」行われるかはほとんど明らかにされていない。そこで本研究では、心理学実験と脳波実験を通じて比較照合過程のメカニズムを明らかにすることを目的とする。
|
研究実績の概要 |
ワーキングメモリの重要な機能は、記憶と現在の知覚を比較照合し差異や同一性を認識することである。しかし、比較照合が実際にどのように行われるかはほとんど明らかにされていない。従来の説明では「物体の全体的な類似性が高いほど比較照合が容易になる」と想定されてきた。例えばワーキングメモリに赤い丸を記憶すると、形が同じ丸の色と比較照合がしやすいと想定される。しかし予備的に検討した所、むしろ形が違う四角形の色と比較照合する方が成績が高くなった。この結果は「物体のある側面(形)の類似性が高いとかえって別の側面(色)の比較照合が困難になる」ことを新たに示している。そこで本研究では予備実験を発展させ、この現象を引き起こす「要因」と「プロセス」を検討することで、記憶と知覚の比較照合過程を明らかにすることを目的とする。 本年度は、記憶と知覚の比較照合に影響する要因を明らかにする実験を進めた。すでに行った予備実験を元に、記憶とテストの「形」の違いが「色」の比較照合に影響するかを明らかにするための実験を大学生70人を対象におこなった、実験では、ワーキングメモリ課題として複数の丸の色を記憶してもらった。このときさまざまな形のテスト刺激を用意し、丸との違いが大きいテスト刺激ほど「色」の比較成績が高くなるかを検討した。その結果、やはり「色」を覚えたときに、記憶とテストの「形」が違うとテスト成績が高くなることが示された。このことから、比較照合過程においては、比較する特徴次元以外の次元が影響することを明らかにすることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りに実験を開始し、70名の大学生を対象に2つの実験を行い、予備的に見出していた現象を確認することができた。そのため研究は概ね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、記憶と知覚の比較照合に影響する要因を明らかにする。そのために、本年度行った実験を発展させ、記憶とテストのどのような形の違いが色の比較照合に影響するかを更に明らかにする実験を進める予定である。
|