研究課題/領域番号 |
23K03004
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
繁桝 博昭 高知工科大学, 情報学群, 教授 (90447855)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | fMRI / MVPA / VR / HMD / 空間知覚 / 体性感覚 / 多感覚統合 / 把持運動 / 視覚 |
研究開始時の研究の概要 |
視覚系の空間処理過程に体性感覚情報が及ぼす影響について検討する。 (1)視覚入力を伴わない体性感覚情報の処理に視覚野がどう関わるかをfMRIにより検討し,脳内のどの領野が体性感覚の空間処理に寄与しているかを特定する。 (2)ヘッドマウントディスプレイ(HMD)により,身体運動に伴う体性感覚情報と独立に視覚刺激を操作し,視覚に及ぼす体性感覚情報の影響を検討する。 (3)HMDを用いた多感覚統合の経験が視覚皮質の処理に及ぼす影響についてfMRIにより検討する。 これらの研究により,視覚系が網膜の入力情報だけでなく体性感覚も含めた行動出力へと至る空間処理システムとして捉えられるかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
fMRI研究では,視覚入力がなく,把持運動のみで知覚した棒状の物体の方位を視覚皮質の各領野の脳活動データから推定し,その正答率を指標として各領野の機能について検討した。特に,把持運動では,運動計画,触覚,自己受容感覚,ワーキングメモリなどの複数の要因が脳活動パターンの違いとして現れると考えられるため,これらの要因を分けて検討するための条件を設定し実験を行った。分析の結果,V3野では,背側側のV3dは把持運動における力触覚フィードバックを統合する処理,腹側側のV3vは不足している視覚情報をイメージする処理に関連することが示唆された。このことから,同じV3野内でも体性感覚や運動出力のフィードバック情報による視覚野の処理は,腹側,背側で機能的に違いがあり,上下視野で機能が非対称であることを示した。 また,凸面に触れたときの曲率の判断を繰り返すことにより,視覚による曲率の判断や脳活動に変化が生じるかについて心理物理実験及びfMRI実験で検討するため,予備実験を行った。 VRを用いた研究では,物体の太さの判断を行うとき,触覚刺激と視覚刺激の太さの情報が異なる場合にそれらがどのように統合され知覚されるかについて検討を行った。特に,物体までの距離によって各感覚モダリティの情報の重み付けが変化するかについて検討した。実験の結果,視覚情報から太さを判断するときは,距離によって触覚情報の重み付けは変化したが,視覚と触覚のうちどちらのほうが太いかという相対的関係に依存して距離による影響が異なることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時に計画していたfMRIとVRを用いた研究(体性感覚による対象の3次元情報が視覚野に及ぼす影響の検討,体性感覚情報の知覚経験が視覚刺激の3次元知覚に及ぼす影響,視覚刺激による物体の知覚に体性感覚情報が及ぼす影響の検討)をそれぞれ進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,令和5年度において予備実験を進めてきた,体性感覚情報の知覚経験が視覚刺激の3次元知覚に及ぼす影響についての実験を中心に検討を行う。またVR上で自己身体を変調させ,そのときに空間知覚に及ぼす影響についても検討を行う。
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