研究課題/領域番号 |
23K03011
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 追手門学院大学 |
研究代表者 |
大神田 麻子 追手門学院大学, 心理学部, 准教授 (90725996)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | アニミズム / 擬人化傾向 / ロボット認識 / ジェンダーステレオタイプ / 選択的信頼 / 嘘 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ヒト型ロボットの行動や発話、ロボットに付与される生物学的な性別(男性/女性)と社会的ジェンダー(男性らしさ、女性らしさなどで、性役割やジェンダーステレオタイプも含む)に着目し、これらの要因がロボットに対する心的状態の帰属や好ましさ、人間らしさといった評価に影響するか検討する。ロボットと人間に対する認識についても比較する。その際には子どもと大人を対象とし、幼児期から成人期におけるロボット認識の発達的変化ついても検討する。
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研究実績の概要 |
先行研究では、5歳ごろからロボットを男性と認識し始め、この傾向は大人になっても変わらないことが分かっている(Okanda & Taniguchi, 2021)。本年度は、ロボットに明示的に性別情報が与えられている場合は、そうでない場合よりも、生き物らしさを感じやすくなるという仮説を検証した。 まず、3歳から7歳児と大人におけるヒト型ロボットへのアニミズム傾向(生物的・心理的・知覚的特性を持つかどうか)または擬人化傾向(感情、意図、意識、心などがあるか)が性別がある場合とない場合において変わるか検討した。ロボットの写真をジェンダーニュートラルな名前(名前はXです)とともに提示し、性別がある条件では続けて性別(Xは女の子/男の子です)を、性別がない条件ではロボット(Xはロボットです」)と紹介し、続けてアニミズム傾向または擬人化傾向について聞いた。その結果、年齢に関わらず性別がない場合に、性別がある場合よりアニミズム傾向または擬人化傾向を帰属させやすいことがわかった。ロボットが女の子でも男の子でもその傾向に差は見られなかった。 次に、ロボットという機械だけに限らず、そもそも性別の情報が擬人化傾向に影響するか確認した。具体的には、名前という情報を取り除き、性別の有無のみで擬人化傾向が変わるか、イヌ型ロボットと本物の犬の写真を用いて検討した。これは大人のみ対象とした。2つの実験を通し、性別がない場合の方が、ロボットだけでなく動物(犬)の場合も擬人化させやすいことが分かった。 これらの結果は仮説と反するものあったが、複数の実験を通して同じ結果が得られたため、本実験における状況では、子どもも大人も性別の情報がない場合の方がロボット(と動物)を生き物らしく、あるいは人間らしく感じる可能性が高いといえそうである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究計画では、大きく分けて2つの事項について検討予定である。初年度は、そのうちの1つである、ロボットに生物学的/社会的なジェンダーを付与した際に、そのロボットに対するこれらの評価が変化するか検討した。その結果、当初予測していた仮説とは真逆の結果が得られたため、その後の計画を変更し、追加の実験を行った(実験刺激をヒト型ロボットからイヌ型ロボットに変更するなど)。また、今後も実験計画の微細な調整が必要なため、やや遅れているを選択した。ただしこれは幼児におけるロボット認識という比較的新しいテーマに取り組むにあたり、避けられない問題であったと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
上述したように、研究計画当初の仮説とは正反対の結果が得られたことにより、全体の研究計画についても多少の調整が必要となった。2年目は、どのようなロボットの行動や発話が、そのロボットへの心的状態の帰属させやすさや、好ましさ、人間らしさに影響するかについて調べる予定である。まずは大人を対象とした予備実験を行い、その結果をもとに、子どもも含めた本実験を行う。
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