研究課題/領域番号 |
23K03013
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
河地 庸介 東北大学, 文学研究科, 准教授 (20565775)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | シーン知覚・認知 / 画像統計量 / 心理物理学 / 中心視野・周辺視野 / シーン知覚 / 中心・周辺視野 / テクスチャ合成 / 心理物理学的計測 |
研究開始時の研究の概要 |
眼前のシーンがすみずみまで鮮やかに感じられるのは,実際に知覚した結果なのか,単なる錯覚なのか。この問題に挑むのが本研究である。従来,周辺視野での空間解像度やコントラスト感度の低下が指摘されているが,実際のところ,シーンの知覚体験に周辺視野の情報のどこまでが含まれているかは十分な検討がなされているとは言えない状況である。本研究では,中心・周辺で異なる画像処理がなされた合成刺激と種々の実験心理学的測定法を組み合わせて人がシーンの何をどこまで知覚しているのかを特定する。さらに,知覚の後に残される記憶の中のシーンが内包する情報の検討にも挑んでいく。
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研究実績の概要 |
眼前に広がるシーンがすみずみまで鮮やかに感じられるのは,実際に知覚した結果なのか,単なる錯覚なのか。この問題に挑むのが本研究である。従来研究は周辺視野での空間解像度・コントラストの低下が指摘されてきた。近年はシーンの方位と空間周波数情報からなるテクスチャ統計量のみでシーンの概要が知覚できる可能性があると注目されている。しかし,結局のところ,シーンの知覚体験自体に周辺視野の情報のどこまでが含まれるかを検討する心理物理学研究はほぼない。本研究では,中心・周辺で異なる画像処理がなされた合成刺激,部分報告法をはじめとする感覚記憶測定法,種々の心理物理学的測定法・生理学的反応計測を組み合わせて人はシーンの何を知覚・認知できるのかを特定する。 本年度は,本研究の実施以前より準備していたシーン記憶の研究を中心に展開した。そのうちの1つの実験では,様々な大きさの中心部の有彩色領域と周辺部の無彩色領域からなるシーンキメラ刺激を記憶するように参加者に求めて、後に中心部の有彩色領域を再生するように求めた。その結果、参加者は実際に提示されていたよりも空間的に拡大した形で有彩色領域を再生することが示された。現在は,同様の現象が色のみならず,他の視覚特徴次元についても生じるかを確認するとともに,有彩色領域の拡張現象が生じる情報処理レベルの同定を行うべく,実験を進めている。この他,シーン知覚に関わる実験として,シーン画像の周辺領域の色が欠損していても観察者は気が付かないという現象が報告されているが(Cohen et al., 2020),中心視野領域は空間的のみならず,時間的にも優先される形で色,コントラスト,空間周波数にかかわる知覚表現を作り上げているという知見を得た。今後はさらに同様の知見が他の視覚特徴についても得られるかをさらに検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究の蓄積もあるため,円滑に研究遂行することができている。知覚・認知実験において必要不可欠な実験刺激のクオリティの向上,二者によるシーン知覚・認知研究という新しい取り組み,および新たな測定手法の習得や数理モデリングにも着手できており,今後の研究展開により幅を持たせることができる環境が整いつつある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,現象記述的な知見の報告に留まるのではなく,情報処理メカニズムを明らかにするための実験を行うためにも,さらなる新規の実験刺激および測定方法を工夫する等して内容を深化させていきたい。
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