研究課題/領域番号 |
23K03024
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
白間 綾 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 児童・予防精神医学研究部, 室長 (50738127)
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研究分担者 |
信川 創 千葉工業大学, 情報科学部, 教授 (70724558)
住吉 太幹 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 児童・予防精神医学研究部, 部長 (80286062)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 生体モニタリング / ウェアラブル端末 / 研究領域基準 / 精神疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
実用的で高機能なウェアラブル端末の急速な普及によって、日常生活を送る人びとからさまざまな生体データの収集が可能になった。本研究では,ウェアラブル端末によって統合失調症,うつ病,双極性障害など主要な精神疾患を対象とした実世界生体モニタリングを行う。そして,生体モニタリングデータから複数の特徴を抽出し,研究領域基準(Research Domain Criteria, RDoC)の6領域からとくに負の感情価や認知系,覚醒調節系の評価を行うモデルの生成と検証を行う。精神疾患の病態のみならず,患者の機能的予後を予測しうる客観的な評価系を構築する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,統合失調症,うつ病,双極性感情障害等さまざまな疾患を対象とし,生体モニタリング情報からRDoCに基づく多次元評価を行う手法を構築することにある。とくに近年普及が進むウェアラブル端末を用い,日常生活における活動と休息のリズムやストレスに関する行動・生理的データを疾患横断的に収集する。令和5-6年度にかけては,日常生活場面における生体モニタリング情報の収集と,その信頼性の検証を行う予定である。初年度の令和5年は,患者群の対象群となる健康成人(30名程度)のデータを収集するため,倫理委員会への倫理申請書の提出を行なった。倫理申請書が受理された後,4名の健康成人を対象にウェアラブル端末を装着し,日常生活を1週間送っていただく実験を行いデータを収集した。日常場面において,ウェアラブル端末を忘れずに装着することができるのか,データ通信のトラブルによるデータ欠損がどの程度起こるのか,ローデータの利用が可能であるか等の検証を行なった。また,ウェアラブル端末から得られたデータからどのような情報を分析可能であるか,共同研究者らとディスカッションを行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の実施にあたり,研究実施の障害となりうる点がいくつか考えられていた。たとえば,腕時計型のデバイスで長時間安定的な計測が可能であるのか,データの欠損はどの程度であるか,スマートウォッチのデータのローデータが利用可能であるか,といった点が挙げられる。初年度はこれらの点に関し,予備的なデータの解析から,データ欠損は生じるものの,データ補完の手法を用いれば,ウェアラブルデバイスの時系列データから意味のある情報を抽出できることを確認することができた。また,ローデータの利用に関してはWeb APIとよばれる仕組みを利用して,得られる中では最大の時間解像度でデータを保存できることも確認した。これらの事前準備を経て,健康成人のデータ収集を開始し,1週間程度であればつけ忘れや,機器や通信のトラブルもなく実験を進められることも確認することができた。本年度はこのように実験の実施可能性を確認できたことから,研究がおおむね順調に推移していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
R6年度は引き続き,まず健康成人を対象とした実験を実施して解析に必要なデータ数の確保を目標とする。初年度の作業の中で,実験の実施可能性について確認できていることから,目標人数のデータ収集は十分に実現可能であると考える。さらに日常生活場面で得られた生体モニタリング情報の信頼性について検証を行う。日常生活場面での測定は,測定状況のばらつき,個人内・間の変動,ノイズの存在などを伴い,信頼性のある指標の推定法は開発途上段階にある。R6年度以降は,データ補完の手法や,先行研究において提案されているいくつかの手法を参考に,臨床的に有用な情報の抽出方法について検討を重ねていく。
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