研究課題/領域番号 |
23K03027
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
増岡 彰 筑波大学, 数理物質系, 教授 (50229366)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ピカール・ヴェッシオ理論 / スーパー対称性 / スーパー・ホップ代数 / ホップ・ガロア理論 / スーパー群スキーム / 微分ガロア理論 / ホップ代数 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,近年理解の進んだ対称モノイダル圏の研究に寄与しようとするものである.およそ,そのような圏の対称性はスーパー対称性で与えられ,スーパー群スキームによって統制される.具体的な圏として,スーパー微分方程式が与える圏,すなわち1つのスーパーD-加群が生成する圏が考えられる.しかし,スーパー微分方程式の一般論はまだ整っていない.本研究は,線形微分方程式のガロア理論,すなわちPicard-Vessiot(ピカール-ヴェッシオ)理論をスーパー対称性のコンテクストに一般化しようとするものである.方法として主に,ホップ代数の理論を応用する.
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研究実績の概要 |
スーパー・シンメトリック微分ガロア理論の基礎理論を構築し、その成果を単著 "Supersymmetric Picard-Vessiot theory, I: basic theory" として arXiv に公表した(arXiv: 2307.0197). その概要を述べる.竹内光弘(1989)は,ピカール・ヴェッシオ理論へのホップ代数アプローチを考案した.そこで与えられたピカール・ヴェッシオ拡大の新しい定義は,ホップ・ガロア拡大を援用することにより,当該拡大をその自己同型群スキームに,従来より直接的に結びつけるものであった.研究代表者は,この竹内のアイデアに沿って,ピカール・ヴェッシオ理論をスーパー対称性(SUSY)のコンテクストに一般化した.そこではSUSY体の概念が定義され,従来のPV理論における微分体がD-SUSY体に取って代られている.ここに,Dは SUSY体に作用する余可換なスーパー・ホップ代数である.当該基礎理論においては,ホップ・ガロア理論の役目がますます重要となっている. なお、この研究成果には、先行する、研究代表者と大江拓哉、高橋祐太の共同研究が有効に用いられている.それはtorsorをやはりスーパー対称性(SUSY)のコンテクストにおいて考察するもので,3人の共著論文 "Torsors in super-symmetry" にまとめられ,国際学術誌に投稿中である.これに関連するトピックとして,スーパー形式群Gのスーパー形式部分群Hによる商G/Hの研究を行った.高橋祐太との共同研究で,共著論文 "Quotients in supersymmetry: formal supergroup case" にまとめた.これは Communications in Algebra に掲載が決まっている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
期待した通り,スーパー・シンメトリック微分ガロア理論の基礎理論が構築できた.応用への準備が整うと同時に,この基礎理論の応用とは別に興味深い研究テーマが得られた.
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今後の研究の推進方策 |
構築したスーパー・シンメトリック微分ガロア理論の基礎理論の応用を試みる.その1つに,SUSY線形微分方程式の可解性がある.これには,研究代表者と共同研究者によるスーパー群スキームの可解性に関する研究成果が役立つと期待される.基礎理論の研究の過程で,正標数における可換スーパー・ホップ代数のホモロジー代数的性質に関する問題に行き当たった.これについても研究を進める.
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