研究課題/領域番号 |
23K03029
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
|
研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
今野 均 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (00291477)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 楕円量子トロイダル代数 / アフィンA型箙多様体 / 楕円コホモロジー / stable envelope / vertex function / シンプレクティック双対 / 頂点作用素 / Elliptic Quantum Group / Toroidal Algebra / Affine Lie Algebra / Geometric Representation / cohomology |
研究開始時の研究の概要 |
楕円量子群 Uq,p(g) (g:アフィン リー環またはトロイダル代数) の表現を対応する箙多様体 X のトーラス同変楕円コホモロジー E_T (X)上の幾何学的表現として実現する. そのためにOkounkovらにより導入されたE_T (X)上の良い類である楕円 stable envelope (Stab)とUq,p(g)の表現から構成される重み関数との対応や Stab による幾何学的表現の構成法を確立する. また, Uq,p(g)の種々の表現に対する頂点作用素の構成を確立し, 楕円q-KZ方程式の積分解の構成や量子可積分系との対応, Okounkovの頂点関数との対応などを明らかにする.
|
研究実績の概要 |
前年度に得たインスタントンモジュライ空間に対する楕円stable envelopesを援用した楕円量子トロイダル代数Uq,t,p(gl1,tor)の頂点作用素の構成に基づいて、RLL=LLR*関係式を満たすL作用素を構成した。ここで、RやR*は異なるチェンバーに対応する楕円stable envelopesたちの変換行列として得られるダイナミカルな楕円インスタントンR行列である。また、このL作用素を用いてUq,t,p(gl1,tor)の標準余積を定義し、得られた頂点作用素たちが標準余積に関する繋絡作用素であることも示した。 一方、この高ランクへの拡張として、楕円量子トロイダル代数Uq,k,p(glN,tor)の表現とSmirnovやDinkinsが幾何学的に構成したアフィンA型箙多様体のトーラス同変楕円コホモロジーに対する楕円stable envelopeとの整合性を見出し、それらを組み合わせて Uq,k,p(glN,tor)の頂点作用素を構成した。正当性のチェックとして、それらの合成積から楕円stable envelopesに対する正しいshuffle代数の構造が得られること、また、頂点作用素の合成積の期待値としてアフィンA型箙多様体のK理論的 vertex function (頂点関数)、即ちP1から箙多様体へのquasi map countの生成母関数、が得られることを示した。さらに、アフィンA型箙多様体とA∞型箙多様体の関係を用いて、A∞型箙多様体に対応する頂点作用素を構成した。この応用として、グラスマン多様体の余接束T*Gr(k,n)にシンプレクティック双対なA型箙多様体に対するvertex functionsがA∞型頂点作用素の合成積の期待値として導けることを示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
楕円量子トロイダル代数Uq,t,p(gl1,tor)に対して、L作用素の構成が完成し、頂点作用素たちがL作用素による標準余積に関する繋絡作用素であることが確認できた。高ランクの場合にも、楕円量子トロイダル代数Uq,k,p(glN,tor)の表現とアフィンA型箙多様体のトーラス同変楕円コホモロジーに対する楕円stable envelopeとの整合性に基づいて Uq,k,p(glN,tor)の頂点作用素が構成され、楕円stable envelopesに対するshuffle代数の構造やK理論的 vertex functionが表現論的に理解できたことで、Uq,k,p(glN,tor)の幾何学的表現の構成に一歩近づいたと言える。また、A∞型箙多様体に対する頂点作用素が構成できたことで、A型箙多様体全般に関するシンプレクティック双対性のvertex functionsのレベルでの理解が可能になると期待できる。
|
今後の研究の推進方策 |
gl1型の場合の結果を高ランクの楕円量子トロイダル代数Uq,k,p(glN,tor)の場合へと拡張し、既に構成した頂点作用素を用いて、RLL=LLR*関係式を満たすL作用素を構成する。このL作用素を用いてUq,k,p(glN,tor)の標準余積を定義し、得られた頂点作用素たちが標準余積に関する繋絡作用素であることを示す。また、頂点作用素の合成積の期待値として得られるvertex functionが満たすq差分方程式の導出や、シンプレクティック双対なA型箙多様体に対するvertex functionたちの同値関係の解明も試みる。
|