研究課題/領域番号 |
23K03037
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
笹木 集夢 東海大学, 理学部, 教授 (60514453)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ワイル群 / 半単純対称空間 / 分裂カルタン部分環 / カルタン分解 / 簡約型実球等質空間 / ワイルの部屋 / 制限ルート |
研究開始時の研究の概要 |
実半単純リー群のリーマン対称空間に対するカルタン分解に付随するワイル群やワイルの部屋はその上の調和解析に大きな役割を果たす.前研究課題19K03453では非対称な簡約型実球等質空間に対するカルタン分解を研究し,不変測度をカルタン分解に付随する積分公式として特徴付ける方法を発見した.本課題では,半単純(擬リーマン)対称空間を含む簡約型実球等質空間に対して,対称空間に対するワイル群やワイルの部屋の一般化を目指し,それらの明示的表示の方法などを研究する.
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研究実績の概要 |
本研究課題の初年度は,半単純対称空間に対して研究を行い,研究計画の作成時に期待した通りの結果を得ることができた.具体的には以下の研究を遂行し成果を得た. (1)非コンパクトな半単純対称空間のワイル群の定義および性質を研究した.本定義は半単純対称空間に対するカルタン分解に現れる分裂カルタン部分環の取り方に依存せず半単純対称空間のみから定まることを確認することができた.これにより,非対称な簡約型実球等質空間に対しても同定義が拡張できることが期待される. (2)(1)で定義したワイル群は,半単純対称空間に付随する非コンパクトな実簡約リー群のワイル群を包含していることを明らかにした.特に,これは半単純対称空間に付随する実簡約リー群のワイル群と同型であることを証明した.これにより,半単純対称空間のワイル群は有限群であることも確認された. (3)(2)で証明したこととは独立に,半単純対称空間における極大コンパクト部分群の作用による両側剰余空間と,半単純対称空間のワイル群による分裂カルタン部分環への作用による剰余空間との間に1対1対応が得られることを明らかにした.この証明は,コンパクト対称三対による軌道分解に関する松木敏彦氏の結果(J. Algebra 197 (1994),J. Lie Theory 12 (2022))の非コンパクト版と解釈され同様の方法で示した.この事実は,非対称な簡約型実球等質空間のカルタン分解の下でワイル群が本研究課題の目標を達成するための重要さを示唆していると考えられる. (4)2024年1月に鳥取県立生涯学習センター(県民ふれあい会館)で開催された2023年度表現論ワークショップにて,また2024年3月に大阪公立大学で開催された日本数学会2024年度年会函数解析学分科会において半単純対称空間に対するWeyl群の研究成果を発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題を遂行するための第1段階として半単純対称空間を扱い,期待通りの成果を得ることができた.また,同研究成果を2024年1月に開催された2023年度表現論ワークショップや2024年3月に開催された日本数学会2024年度年会で発表することができた.さらに,同成果をまとめるために論文執筆を実施していることも加味しておおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
(1)半単純対称空間に対する本研究課題で得られた成果を研究集会で発表し,論文にまとめて投稿することを目指す. (2)(1)で述べた成果報告の準備と並行して,本成果に引き続き研究計画にしたがい本格的に非対称な簡約型実球等質空間の研究に取り掛かる.一口に非対称な簡約型実球等質空間を統一的に扱うことは困難であるため,その中でも対称空間に近い構造をもつもの,例えば,対称空間上の直線束であるもの,階数1型などを対象の候補として研究を遂行する計画である.
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