研究課題/領域番号 |
23K03040
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
渡辺 敬一 明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進員(客員研究員) (10087083)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | Integrally Closed ideal / Gorenstein ring / Normal tangent cone / FFRT / Almost Gorenstein ring / Normal reduction Number / Segre Product / 可換環 / 正規特異点 / 整閉イデアル / Gorenstein 環 / F 特異点 |
研究開始時の研究の概要 |
代数多様体の特異点からはその点の近傍における関数の作る環として可換環が現れる. 一方可換環は抽象的に定義されるが,実は幾何学的な背景を持っている.ある特異点の幾何学的な性質と,その特異点の与える可換環論の性質,イデアル論は密接に関連し,ある特異点が「良い」特異点であるほど,その環のイデアル論的性質もわかりやすくなる. 本研究は2次元の特異点論におけるその関連をはっきり定式化して与える事を目標とする. また標数 0 の代数多様体の特異点を,正標数への「還元」を通じて正標数での可換環論を用いて研究する「f- 特異点」 においても「F- 閾値」「Hilbert-Kunz 重複度」などの研究を行いたい.
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研究実績の概要 |
2023 年度は 2次元正規特異点のイデアル論,正標数の手法による特異点の研究,数値半群や高次元の半群環に対する Gorenstein almost Gorenstein 性の研究の3つの主題に関して研究を行った. 2次元の特異点に関しては,normal tangent cone が Gorenstein 環になる整閉イデアルの幾何的な不変量による分類を行った (山形大学奥間智宏教授,日本大学文理学部吉田健一教授との共同研究).これに関して,楕円型特異点や斉次な超曲面に対して完全な分類ができ,"Gorensteinness for normal tangent cones of elliptic ideals", "Gorenstein Normal tangent cones of integrally closed ideals in two-normal singulariti" の2つの論文にまとめ投稿中である.また,ICTP (Trieste, Italy) における Workshop や日本数学会などで口頭発表も行った. 正標数の手法による特異点の研究に関しては,FFRT (有限 F 表現型) と Cohen-Macaulay 性に関する結果を Utah 大学の Snurag Singh 教授との共同研究で "On Segre products, $F$-regularity, and finite Frobenius representation type" という論文にまとめ,Acta Mathematica Vietnamica に受理されている.また正標数の環の不変量 I_q( J) に関して Basque 研究所の Ilya Smirnov 教授との共同研究を継続中である. 数値半群の研究に関しては,論文 "Inverse polynomials of numerical semigroup rings" (日本工業大学 衛藤和文教授との共著) が Journal of Algebra から出版された.また Stretched Numerical Semigroup, Almost Gorenstein Sinplicial Semigroups に関する 衛藤和文教授,明治大学 松岡直之准教授との共同研究も進行中で,間もなく論文の形にまとめられる予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
covid も幸い下火になり,海外渡航も可能になったが,一方でウクライナ戦争と円安のために海外渡航の料金が大幅に高騰し,計画していた予定の半分程度の海外研究しか遂行できない状況になっている.昨年度も予定していた研究集会への参加をいくつか見送らざるを得ず,今年度も Berkeley の MSRI における Workshop が予定していた 30万円程度の経費から実際は 60万円程度の経費に大幅に高騰し,参加を見送らざるを得なくなった. 研究活動自体はメールなどの手段を通じて続けてはいるが,やはり実際に合って議論をするのとは成果が比べものにならない.
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今後の研究の推進方策 |
2次元の正規特異点論に関しては,1. 整閉イデアルの normal redcution number, 2. 正規特異点の almost Gorenstein 性の2つの主題に関して研究を続けていく. 正標数の特異点論に関しては,Basque 研究所の Ilya Smirnov 教授を訪問して正標数のイデアル論に関する共同研究を予定しているので,研究成果が期待される. 半群の研究に関しては,7月にスペインで行われる IMNS (International Meeting on Numerical Semigroups)に於いて"Stretched numerical semigroups" に関する研究成果の発表を行う予定である.また,Barcelona 大学の Joan Elias 教授と共同研究を行うので,研究成果が期待される.
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