研究課題/領域番号 |
23K03048
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
山崎 玲 (井上玲) 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (30431901)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2027年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | クラスター代数 / 量子クラスター代数 / 四面体方程式 / 3次元反射方程式 / 量子群 / 組合せ論 / 表現論 / 可積分系 |
研究開始時の研究の概要 |
Lie環のワイル群をクラスター代数によって実現した応募者の最近の研究を発展させ,組合せ的表現論の新しい視点を獲得し,離散可積分系の新たな展開を生み出す. 有限次元単純Lie環に対し,ある有理関数体上にワイル群の新しい表現を最近定義した.この表現について,ワイル群作用の不変部分の決定をはじめ,表現の構造を明らかにする.さらに,A型のLie環のときに知られているこのワイル群作用と幾何R行列や可積分系との関係を,より一般のLie 環の場合に拡張する.また,最近の研究で導入した幾何R行列の非可換化が示唆する全正値行列の組合せ論的性質を表すネットワーク図式の非可換化の考察を進める.
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研究実績の概要 |
クラスター代数の離散可積分系と表現論への応用に関して,四面体方程式および3次元反射方程式という3次元の可積分性に関連する大きな進展があった.Sun氏と八木氏は,A3型のワイル群の最長元にtriangle,square,butterflyという3種類の箙を配置し,量子クラスター代数を用いて四面体方程式の解を構成する方法を2022年に提唱した.本研究ではこれを発展させ,国場敦夫氏,寺嶋侑二氏との共同研究でFock-Goncharov(FG)箙(triangle箙の類似)とsquare箙の場合に,量子y変数をqワイル代数で表すことにより,四面体方程式の解をある作用素Rの随伴作用として表すことに成功した.またC3型のFG箙を用い,作用素Rに加えてKを構成することによって3次元反射方程式の解を構成した.さらにSun氏と八木氏も加わった共同研究では,対称butterfly箙の場合に同様の結果を得た.いずれの場合もqワイル代数の表現(無限次元)を使って作用素Rを表示するなどの方法で,既に知られている幾つかの解との関係が分かり,これまで個々に構成されてきた四面体方程式の解を量子クラスター代数の側面から統一的に理解できるようになった.またFG箙に対して構成した作用素Kは我々の知る範囲では新しい解である.
この研究成果について,2023年9月に京都大学数理解析研究所で開催された研究集会「可積分系数理における最近の展開」,および2023年12月に名古屋大学で開催された研究集会「Advances in Cluster Algebras 2024」にて招待講演を行った.また2024年3月に大阪公立大学で開催された日本数学会年会にて「量子クラスター代数と3次元可積分性」と題した一般講演を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID19による規制がほぼ完全に撤廃され、国内外での研究集会出席、研究打合せを予定どおり実施し、様々な情報収集と議論を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,クラスター代数の表現論と離散可積分系への応用に関する以下の研究を進める予定である.
(1) 3次元反射方程式の解を対称butterfly箙の場合に考察する.対称butterfly箙の場合は変異列のトロピカル符号の状況がFG箙のときとは異なっており,単項式変換と全体の変換がともに3次元方程式を満たすためには変異列の「よい符号」を選ぶ必要があるため,さらなる考察が必要である. (2) ネットワークの理論の非可換化について:非可換変数によるネットワーク構成を考察し,クラスター代数の新しい非可換化を構成する.さらに,ネットワークに付随する様々な組み合わせ的な模型の非可換化,幾何クリスタルの非可換化など様々な関連する問題を考える. (3) ワイル群のクラスター代数による実現の応用:2020年に新しく構成した任意の有限次元単純Lie環のワイル群のクラスター実現について,有限次元単純Lie環がA型のときに知られている離散可積分系の研究を,他のLie環の場合に一般化する方法を考察する.表現論と幾何学の両方に深く関係するFG箙についても可積分系への応用を考察する.
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