研究課題/領域番号 |
23K03054
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
早坂 太 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (20409460)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 整閉包 / 加群 / 直既約 / 随伴イデアル / イデアル冪 / 素因子 / 正則局所環 / 整閉イデアル / 直既約整閉加群 / 重複度 |
研究開始時の研究の概要 |
整閉包の理論は、可換環論の中でも重要な基礎理論のひとつである。中でも、イデアルの整閉包の研究は、ヒルベルト関数や重複度などと関連が深く、豊かで長い歴史がある。近年、これを高階数化した加群の整閉包の研究が新展開され、可換環論と特異点論が互いに動機や問題を与えながら推進されている。Zariskiが創始した整閉イデアルの理論の一部は、Kodiyalamによって高階数化され、加群に特有の問題と事象が徐々に明らかになってきている。本研究は、2次元正則局所環上の整閉加群の理論を発展深化させ、局所環論の新たな発展の端緒を開こうとするものである。
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研究実績の概要 |
2023年度は、2次元正則局所環上の直既約整閉加群に付随する行列式イデアルの特徴付けに向けて、位数4の整閉単項式イデアルに付随する階数4の整閉加群の計算を行った。これまでの研究で、階数2と階数3の直既約整閉加群に付随する行列式イデアルの特徴付けが得られていたが、これらの成果をKodiyalam氏との共著論文2編に纏め、出版・公表した。階数4以上の場合の特徴付けで最初に問題となるのが、位数2の単純整閉イデアル二つの積の形をした位数4の整閉イデアルに付随する階数4の整閉加群の存在・非存在である。この問題に対し、位数4の整閉単項式イデアルで、階数4の直既約整閉加群の行列式イデアルになり得ないイデアルのクラスを見出した。 この計算の過程で、新たな課題・研究の方向が見つかった。上述の通り、階数と位数が等しい直既約整閉加群に付随する行列式イデアルの特徴付けが階数2と階数3の場合に得られていたが、階数と位数が等しい(直既約とは限らない)整閉加群を分類することが可能ではないかとの着想に至り、この方向の研究に着手した。単項式イデアルの場合の計算を解析し、随伴イデアルに着目することで、階数と位数が2の整閉加群の分類が完成しつつある。 イデアルの整閉包研究に関連して、イデアル冪の素因子の挙動に関する研究も行った。イデアル冪の整閉包の素因子の挙動と異なり、イデアルの通常冪の素因子の挙動は冪が小さい部分では単調とは限らない。今村氏との共同研究で、この挙動に関する古典的なRatliffの問題への部分的解答を与えた。この成果は今村氏との共著論文として纏め、専門誌に投稿・審査中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最初の課題であった位数4の整閉単項式イデアルの場合の計算で期待していた通りの結果が得られた。この計算過程で得られた新たな課題「階数と位数が等しい整閉加群の分類」に着手し、階数2の場合に分類が完成しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
階数4の直既約整閉加群に付随する行列式イデアルの特徴付けに向けて、引き続き単項式イデアルの場合の計算を推進する。新たに見つかった課題「整閉加群の分類」にも注力することで、まずは階数と位数が2の整閉加群の分類を完成させる。
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