研究課題/領域番号 |
23K03058
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
遠藤 直樹 明治大学, 政治経済学部, 専任講師 (30782510)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | Arf環 / strictly closed環 / weakly Arf環 / Zariski予想 / Weakly Arf環 / Srtictly closed環 / Cohen-Macaulay環 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の主題は可換環論である。現代可換環論の研究領域は広範囲に及ぶが, 本研究では, 1次元Cohen-Macaulay半局所環に対して定義される「Arf環の理論の高次元化」に挑戦する。1971年, J. Lipmanが提唱したArf環には, 環のstrict closed性と同値であるとするO. Zariskiの予想があり, 既に部分的な回答が得られていたが, 研究代表者は最近, 同予想の完全な証明に成功した。1次元Arf環論を精査し, その後50年間の可換環論の発展を踏まえながら, 高次元Arf環論とも言うべきZariski予想の同値性に対応する性質を内包した環構造論の構築を目標とする。
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研究実績の概要 |
本研究では, 可換環のstrict closed性解析を手掛かりに, 1971年J. Lipmanによって提唱されて以来これまで1次元のCohen-Macaulay半局所環に限定されてきたArf環の理論を, 高次元のNoether環に拡張し, 具体例の解析を通して理論の展開を図ることを目標とする。1次元Cohen-Macaulay半局所環に対しては, 環のstrict closed性とArf性が同値であるとするO. Zariskiの予想があり, Zariski自身とLipmanにより体を含む環に対しては既に肯定的な解答が得られていたが, 研究代表者は最近, 約50年振りに同予想が一般に正しいことの証明を与えた。環のstrict closed性が任意の可換環に対して定義されることを鑑みるに, Arf環の概念を適切に高次元に拡張することができれば, Zariski予想の同値性に対応する性質を内包した高次元の環構造論の構築が期待可能である。本研究において, 以上のプロセスを実行に移す。 2023年度はstrict closed性の解析及び, Arf性の拡張概念の一つであるweak Arf性の解析に従事した。具体的な成果として, 例えば, 適切な仮定を満たすNoether環に対して, Serreの(S2)条件とweak Arf性を満たすような双有理有限拡大環を構成した。並行して, Arf環と不可分に関連する反射的加群に着目し, トレースイデアルの自己準同型環の反射的加群圏の構造解析にも従事した。 研究代表者は, 2023年9月と2024年3月の日本数学会, 及び2023年7月の可換環論セミナーへ出席し成果発表と合わせて, 情報収集及び研究連絡に従事した。2023年11月には, 神奈川県葉山町のレクトーレ葉山において第44回可換環論シンポジウムを主催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ここ最近の数年間と比較しても, 2023年度は国内外の情勢が落ち着き始めた。依然として, 新型コロナウイルス感染症拡大の影響が無い訳ではないが, 国内外における各種学会や研究集会等は, 対面形式やハイブリッド形式の開催が殆どである。従来までのZoomやSlack等のオンラインツールを用いた共同研究者との議論を継続しつつ, 対面での議論の機会にも恵まれたため, 研究の進捗状況は概ね当初の計画通りである。以上により,現在までの進捗状況は「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度も新型コロナウイルス感染症の影響を注視し, 国内外の情勢を踏まえ, オンラインツールを用いた遠隔での議論と対面での議論を併用しながら研究活動に従事する。また, 国内外で開催される各種研究集会に関しても, 対面での参加を検討したい。2024年度に取り組む具体的な課題としては, 主に次数環のstrict closed性解析に重点を置きつつ, Rees代数の構造解析を通して, イデアルのstrict closureを導入する計画である。
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