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正標数のカラビ・ヤウ多様体を巡る代数多様体の研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K03066
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分11010:代数学関連
研究機関東京大学

研究代表者

桂 利行  東京大学, 大学院数理科学研究科, 特任教授 (40108444)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
キーワードK3曲面 / Enriques曲面 / 自己同型群 / カラビ・ヤウ多様体 / 超楕円曲線 / Jacobi多様体 / Richelot isogeny / 正標数 / エンリケス曲面 / 代数多様体
研究開始時の研究の概要

正標数、つまり1を素数p回加えると0になるといういわばデジタルの世界において、Calabi-Yau多様体という素粒子論における超弦理論にも現れる重要な多様体およびそれと関連する多様体の構造の解明を目指す。2次元の場合には、アーベル曲面、K3曲面、Enriques曲面、Coble曲面などを研究の対象とし、それらの代数サイクル、モジュライ空間、自己同型群の構造を解明することが目的となる。正標数の代数幾何学は、符号理論や暗号理論にも応用を有しており、Jacobi多様体を用いた同種暗号も視野に入れて研究を行う。

研究実績の概要

標数2の有限自己同型群をもつ古典的Enriques曲面、超特異Enriques曲面は、金銅誠之およびG. Martinと研究代表者の共同研究によってnodal curveのconfigurationを用いて、古典的の場合には5種類、超特異の場合には8種類に分類されていた。しかし、各類の自己同型群がここで得られたものに限られるかという問題および各類のモジュライ数の決定は未解決であった。Schuettとの共同研究でこの問題を取り上げ、準楕円曲面の構造をもつ一般のEnriques曲面の方程式を古典的および超特異のそれぞれの場合に決定し、それを用いて有限自己同型群およびモジュライ数が上記3人の共同研究によって得られていた結果と一致することを示した。準楕円曲面の構造をもつEnriques曲面については、各類に属する有限自己同型をもつEnriques曲面の方程式の標準形を決定した。また、Enriques曲面がコホモロジー的に自明な位数3の自己同型を持てばその曲面は標数2における超特異Enriques曲面であることを示し、そのような曲面の方程式を決定した。この結果によりDolgachev-Martinにより研究されていたEnriques曲面のコホモロジー的に自明な自己同型群の構造を決定する問題で残されていた部分が決着した。
高島克幸との共同研究として、超楕円曲線のJacobi多様体が分解するRichelot isogenyを有する必要十分条件は超楕円曲線の反転ではない位数2の自己同型が存在することであることを示した。また、一般化されたHowe曲線を定義し、その曲線が超楕円曲線になるための必要十分条件を得るとともに、そのJacobian多様体の自然に作られるRichelot isogenyの分解の構造を決定した。この結果はポスト量子計算機暗号における同種暗号の理論と関係している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

M. Schuettとの有限自己同型群をもつEnriques surfaceに関する研究、ならびに高島克幸との代数曲線のJacobi多様体のRichelot isogenyの分解に関する研究が完成し、それら研究をまとめた2篇の論文を発表し受理された。なお、doiは未決定であるため、研究発表欄のdoiを「なし」と記入した。

今後の研究の推進方策

K3曲面およびその高次元版のカラビ・ヤウ多様体、Enriques曲面、アーベル多様体を中心的な研究対象として、正標数における現象を解析していく。標数0においては、K3曲面S上に互いに交わらない16本の非特異有理曲線が存在すればSはKummer曲面になり、16本の因子の和は因子として2で割れることがNikulinによって示されている。正標数においても標数2以外の時は同様のことが成り立つことが知られているが、標数2では2で割った因子を用いて作られる被覆は非分離拡大になり状況が全く異なる。本年度はまず、標数2においてこの問題の類似を研究し、これらの因子を用いてできる被覆の構造解明、およびその時のK3曲面の構造の解明を行う。これらの解析にはK3曲面(2次元カラビ・ヤウ多様体)上の有理ベクトル場の理論を用いるが、高次元のカラビ・ヤウ多様体の正則ベクトル場の存在問題についても何らかの手がかりを見つけたいと考えている。これらの研究には研究協力者の金銅誠之氏や海外研究協力者のM. Schuettの協力を仰ぎたい。代数曲線のJacobi多様体を用いたRichelot isogenyの理論の同種暗号への応用については、代数曲線のJacobi多様体の分解が問題になる。これまでは、同種写像の次数が2のべきの場合を扱ってきたが、一般の自然数べきの場合にも同様の分解が調べられるはずであり、暗号サイドからの高島克幸氏のアドバイスを受けつつ、共同研究で新しい成果を見出したい。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] Leibniz University Honnover(ドイツ)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Normal forms for quasi-elliptic Enriques surfaces and applications2024

    • 著者名/発表者名
      Toshiyuki Katsura and Matthias Schuett
    • 雑誌名

      Epijournal de Geometrie Algebrique

      巻: accepted

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Decomposed Richelot isogenies of Jacobian varieties of hyperelliptic curves and generalized Howe curves2024

    • 著者名/発表者名
      Toshiyuki Katsura and Katsuyuki Takashima
    • 雑誌名

      Commentarii Mathematici Universitatis Sancti Pauli

      巻: accepted

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] Kummer surfaces and quadric line complexes2024

    • 著者名/発表者名
      桂 利行
    • 学会等名
      第19回代数・解析・幾何学セミナー, 鹿児島大学
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] On the classification of Enriques surfaces with finite automorphism group,2023

    • 著者名/発表者名
      桂 利行
    • 学会等名
      新潟代数シンポジウム, 新潟大学
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Kummer surfaces and quadric line complexes2023

    • 著者名/発表者名
      桂 利行
    • 学会等名
      湯布院代数幾何学ワークショップ, 日本文理大学湯布院研修所
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] Leibniz Universitat Hannover

    • URL

      https://www.iag.uni-hannover.de/en/schuett

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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