研究課題/領域番号 |
23K03069
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
佐久川 憲児 信州大学, 学術研究院教育学系, 助教 (80784214)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 副冪単基本群 / 混合ホッジ構造 / 混合テイトモチーフ / 深さ / 混合楕円モチーフ |
研究開始時の研究の概要 |
「数論的」な図形 (例えば円)の面積として現れる数を「周期」と呼ぶ. 多重ゼータ値は, 近年さかんに研究されている周期である. Brown はZ 上の混合テイトモチーフ(=MTM)の周期は多重ゼータ値であることを示し, 様々な応用を得た. Hain・松本はMTMの一般化である普遍混合楕円モチーフ(UMEM)を研究した. UMEMを理解すると多重ゼータ値の「深さ」という量がある程度理解できることがわかっている. 本研究では, Beilinson 予想という信頼性が高い予想を仮定してBrown の定理がUMEMでも成立するかを調べる. また, Hain・松本の研究を高レベルへ一般化することを目指す.
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研究実績の概要 |
2023年度は(1) アフィン代数曲線の副冪単基本群上の混合ホッジ構造 (2) Z上の混合テイトモチーフの基本リー代数 について研究を実施した. 以下それぞれの研究実績を記す.
(1) 実数体上定義されたアフィン代数曲線の副冪単基本群上の混合ホッジ構造を研究した. 副冪単基本群の, 長さが2の商に対し, その上の混合ホッジ構造の同型類を曲線上の微分形式の内積を用いて部分的に記述した. モジュラー曲線の場合にはその内積をRankin-Selberg L関数の特殊値と結びつけることにより, 考えている混合ホッジ構造が純なホッジ構造の直和に決して分解しないことを示した. 得られた結果は論文化してarXiv上に公開した ( arXiv:2404.05370).
(2) Hain・松本の普遍混合楕円モチーフの研究にインスピレーションを得て, Z上の混合テイトモチーフの基本リー代数上に大域的重さフィルトレーションを定義した. 大域的重さフィルトレーションが多重ゼータ値の深さに対応する深さフィルトレーションと一致するならば, フルレベル楕円保型形式に付随するガロワ表現に対するBloch・加藤予想が正しいことを証明した. 得られた結果は論文化しarXiv上に公開した (arXiv:2402.13406).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は「アフィン代数曲線の副冪単基本群上の混合ホッジ構造」「Z上の混合テイトモチーフの基本リー代数」について研究を実施し, 概要に述べたようにそれぞれ結果を得て論文化することができた. 一方, 計画としては「相対的副冪単基本群の(ホッジ, モチーフ的) 構造の研究」を実施予定であった. 副冪単基本群は相対的副冪単基本群の重要な例ではあるが, 構造としては相対的副冪単基本群の方がかなり豊かである. 研究対象が想定より限定的であるという点において本研究の進度は遅れているといえる. 一方, 副冪単基本群を研究する際に用いた手法は, 相対的副冪単基本群を研究する上においても大部分直接的に適応可能と思われる. 従って, 手法が開発できたという点においては本研究は順調に進んでいるといえる. 以上を総合して, 本研究の進捗状況はやや遅れていると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
基本的には現在の研究をそのまま進めて相対的副冪単基本群を研究する方向に進む. 具体的には, 副冪単基本群を調べた際に導入した一般化Bloch-Wigner関数を, 相対的副冪単基本群に対しても導入し, その研究を行う. 並行して, 大域的深さフィルトレーションの研究も同時に行う (これは当初予定にあるBrownの定理の楕円類物の研究と極めて関連が深い). 具体的にはそのホッジ類似物を定義し, その場合に何が起こるかを観察する. その類似物とPollackによる非可換二変数多項式環上の導分の研究との間にはどのような関係があるかを調べる. 各々の研究のは研究集会やセミナー等に出席して他の研究者とも交流し, 現在地を確認しつつ実施する. また, 書籍や論文にあたるなど文献調査も積極的に実施する. 得られた結果は研究集会等で発表して周知する.
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