研究課題/領域番号 |
23K03078
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
服部 新 東京都市大学, 理工学部, 准教授 (10451436)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | Drinfeld保型形式 / 傾斜 / 数値計算 / 合同 |
研究開始時の研究の概要 |
Drinfeld保型形式とは,楕円保型形式の正標数一変数関数体における類似である. この10年間に,複数の研究者による数値計算の蓄積があり,Drinfeld保型形式の傾斜と呼ばれる不変量に関して,由来が謎に包まれた様々な現象が観察されてきた.ところが,楕円保型形式で成功した多くの研究手法がDrinfeld保型形式では破綻し,これらの現象を理論的に解明することができていない. 本研究では,数論幾何・関数解析からのP進的手法の導入を推し進め,これらの現象の中で謎の多い,有限傾斜の上限,傾斜∞部分の次元,傾斜0部分の構造,の三点を明らかにする.
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研究実績の概要 |
本年度はDrinfeld保型形式の傾斜についてどのような現象が起こっているかをまず把握するために,Hecke作用や傾斜に関する数値計算を主に行った.これまで数値計算に用いていた手法は調和コサイクルを用いたBandini-Valentinoの方法だが,この方法では高次の素点に対するHecke作用の明示的公式を得るのは難しい.本年度の研究では,Bandini,Valentino両氏との研究打合せにより,レベルΓ1(t)のDrinfeld尖点形式の具体的な基底とそのq展開を利用することで,任意のHecke作用を計算できるアルゴリズムを開発した.また,Bandini-Valentinoの方法をより一般のレベルのt進傾斜も計算できるようにやや一般化した. Drinfeld尖点形式の空間に現れるレベルを割る素点でのHecke作用は,有限な傾斜がk-1以下であると予想されている(傾斜の上限予想).以前の計算ではレベルΓ1(t)のt進傾斜についてこの上限予想が成り立ちそうだということが観察できていたが,本研究による数値計算で,これがより一般のレベルでも成立していそうだと分かった. 本研究では初年度に重点的に数値計算を行い,それに基づいて二年度目以降で理論的な研究に力点を移す計画である.本年度においては,傾斜の上限予想についてはBoeckleのHeckeクリスタルを用いた理論的研究も行ったが,上限予想の解決には至らなかった. また,以前に得ていたDrinfeld-Stuhler曲線を用いたHasse原理の反例について,証明の最終段階は数値計算によるが,そのアルゴリズムを改良することによりさらに多くの反例を得ることができた.これに関しては論文を作成中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
傾斜の上限予想について,BoeckleのHeckeクリスタルの分析からこの予想が従うものと考えていたが,Drinfeld保型形式に伴うGalois表現が重さの情報を失っているという事実に起因する困難があり,予定していたほど理論的研究が進まなかった.
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今後の研究の推進方策 |
傾斜の上限予想に関して,BoeckleのHeckeクリスタルを用いた研究と並行して,Drinfeld加群の自己双対性を用いた幾何的な手法も検討し,局面打開を図る.
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