研究課題/領域番号 |
23K03095
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
|
研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
長崎 生光 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50198305)
|
研究分担者 |
川上 智博 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (20234023)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | トポロジー / 変換群 / 同変写像 / Borsuk-Ulam型定理 / 順序極小構造 / 同変トポロジー / 変換群論 |
研究開始時の研究の概要 |
古典的なBorsuk-Ulamの定理は球面間の同変写像が存在するための必要条件として解釈できる。本研究では,この観点からBorsuk-Ulamの定理の一般化を研究するとともに同変写像が存在するための十分条件も研究する。そのために同変写像に関するBorsuk-Ulam型の不変量であるG-level, G-colevelの性質を明らかにする。それによりBorsuk-Ulam型定理の精密化を目指す。また等変写像に関する等変Borsuk-Ulam型定理も研究し,等変Borsuk-Ulam型定理の成り立つコンパクト・リー群のクラスの発見を目指す。
|
研究実績の概要 |
代表者の長崎は,コンパクト・リー群Gの不動点自由表現VのBorsuk-Ulam性を導入し研究を行った.G表現球面間の同変写像 f: S(V) →S(W) が存在するとき, 右Borsuk-Ulam不変量 r(W) をVの次元の上限,左Borsuk-Ulam不変量 l(V) をWの次元の下限として定義する.r(V)= dim V のときVは右Borsuk-Ulam性,l(W)= dim W のときWは左Borsuk-Ulam性をもつという.右かつ左Borsuk-Ulam性をもつとき,単に表現はBorsuk-Ulam性をもつという.これらの不変量は以前から研究されてきた自由C_2空間のlevel, colevelを拡張した概念である. 2023年度は,右(左)Borsuk-Ulam不変量の種々の一般的性質を探求した.さらに表現が低次元の場合と相異なる2つの素数の積である位数をもつ巡回群Cの表現の場合に表現のBorsuk-Ulam性を研究し,以下の結果を得た.(1) dim V= 1, 2 ならばVはBorsuk-Ulam性をもつ.(2) dim V= 3 ならば左Boruk-Ulam性をもつ.(3) dim V= 3 で G/G_0が奇数位数のとき,Vは左Boruk-Ulam性をもつ.(4) G=Cのときに, Borsuk-Ulam性をもつ表現を決定した.. 分担者の川上は,Borsuk-Ulam型定理のデファイナブル版を構築するための基礎研究として,順序体のデファイナブル完備局所順序極小拡張上でのトポロジーを研究した.主な結果として (1) デファイナブル商空間の存在定理を証明した.(2) 局所閉デファイナブルG集合XのデファイナブルG閉部分集合Aに対して、AはG不変デファイナブル連続写像の零点集合であることを証明した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題はBorsuk-Ulam不変量を通して同変写像の存在性を研究するものである.研究計画は第I期(2023-2024年度)と題2期(2025-2026年度)の2期に分け進められる,2023年度は第I期の1年目である.第I期では,ある種の群拡大をもつ有限群やコンパクト・リー群の表現についてBorsuk-Ulam不変量の計算・評価を与える計画であるが,2023年度はそのもっとも基礎となりうる相異なる2つの素数の積を位数とする巡回群Cについて研究を進めた.その研究において特にBorsuk-Ulam型不変量 r(V), l(V) がVの次元に等しい場合が,Borsuk-Ulam型定理が成り立つ表現であり,その表現はBoruk-Ulam性をもつといわれる.研究代表者の長崎は上記の巡回群Cについて,Borsuk-Ulam性をもつ表現を完全に決定することに成功した.また次元が1, 2の場合は任意の不動点自由G表現はBorsuk-Ulam性をもつことが証明された.これらの結果は次年度以降の研究の基盤となりうる結果であると考えられる. 一方,分担者の川上は,本研究の事前研究としてデファイナブル完備局所順序極小構造における単調性定理を証明し,擬デファイナブル空間を定義して,それがデファイナブリーコンパクトのとき,あるF^nにデファイナブル埋め込み可能であることを証明した.これらの結果を用い,2023年度にはデファイナブル完備局所順序極小構造において,デファイナブルC^r多様体を定義して,それがあるF^nにデファイナブリーC^r埋め込み可能であることを証明した。これらは,今後のBorsuk-Ulam型定理のデファイナブル版構築のための基礎理論となりうるものと期待される. 以上の点を鑑み,現時点で研究はおおむね順調に進展していると考えている.
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度の研究を受けて,研究の第I期2年目の研究を遂行する計画である.研究代表者の長崎は,引き続き,右(左)Borsuk-Ulam不変量の計算・評価を試み,Borsuk-Ulam性をもつ表現を多くの群で研究する計画である.特に群が素数pのべきを位数に持つ巡回群や群拡大1 → C_p ×C_p → G → C_p → 1をもつ非アーベル群Gの場合に詳しく調べる計画である.これらの群は同変写像の通常のBorsuk-Ulam定理は成り立たないが,Bartschが示した弱い意味のBorsuk-Ulam 定理が成り立つ群である.これらの群の右(左)Borsuk-Ulam不変量の計算・評価を行う計画である.その際に,同変障害類の解析が必要になるので,Bredonやtom Dieckらの同変障害理論や先行研究の結果を発展させ,同変障害類の解析を行う計画であう.これらの結果をを踏まえつつBorsuk-Ulam性をもつ表現を決定し新たなBorsukk-Uam型の結果を得たい. 分担者の川上は,等変Borsuk-Ulam定理のデファイナブル版を確立することを目標に,デファイナブル版の同変トポロジーの基礎理論を研究する.特にデファイナブルG集合Xとそのデファイナブル閉G部分集合Aに対して、A上のG不変デファイナブル連続関数は、X上にG不変デファイナブル連続関数として、拡張できるかどうかを研究する. これらの研究を共有するため,長崎と川上は適宜メールやZoom等で連絡をとり,2024年度は和歌山大学で研究打ち合わせやセミナーを行う予定である..
|