研究課題/領域番号 |
23K03097
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 日本工業大学 |
研究代表者 |
内藤 貴仁 日本工業大学, 共通教育学群, 講師 (20724511)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 自由ループ空間 / ストリングトポロジー / 有理ホモトピー論 / ディフェオロジカル空間 / de Rham 理論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、自由ループ空間の様々なディフェオロジカル空間構造(微分構造)に着目し、それらから得られる微分形式やde Rhamコホモロジーの考察を行う。それにより、微分形式やde Rhamコホモロジーを用いてループ空間が持つ幾何学的情報を抽出する。また、その解釈とストリングトポロジー理論を用いて、自由ループ空間上のディフェオロジカル空間構造を反映させた新たな幾何学的不変量の構成を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、自由ループ空間の(de Rham)コホモロジーがもつ幾何学的情報を抽出することである。Chas-Sullivanの創始したストリングトポロジーの理論により、自由ループ空間のホモロジー(以後、ループホモロジーと呼ぶ)は、ループ積により次数付き可換代数構造を持つことが知られている。その構造について、Gatsinziはrationally elliptic多様体のループホモロジー代数が、常に次数付き多項式環を含むことを、有理ホモトピー論を用いて代数的に示していた。 本研究目的に向けて、今年度はGatsinziの結果の幾何的な意味づけを与えることに取り組んだ。その試みには、これまでの研究で得られていた自由ループ空間上のCartan calculusとループ積との関係式を用いた。古典的なCartan calculusの例としては、滑らかな多様体のde Rham複体上のLie微分と内部積が挙げられるが、栗林勝彦氏、若月駿氏、山口俊博氏との共同研究の中で、これと同様の性質をもつ代数構造をループホモロジー上で発見した。 それと合わせて、Felix-Thomasによって定義されたΓ1という写像を用いた。これは、多様体の自己ホモトピー同値写像のつくるモノイドの恒等写像を含む連結成分のホモトピー群から、有理係数ループホモロジーへの射である。この射と上述とCartan calculusを用いて、Gatsinziの結果を幾何学的に記述することに成功した。またこの証明のアイデアを用いることで、ループ括弧積と呼ばれるループホモロジー上の代数構造について、その冪乗の(非)自明性に関する結果も得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度得られた成果は、有理ループホモロジー代数に含まれる、ある多項式環の生成系の幾何学的意味付けである。これは本研究目的である、ループホモロジーがもつ幾何学的情報を与えた成果であるといえる。それを踏まえて、現在までの進捗状況は、おおむね順調に進展していると言えよう。
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今後の研究の推進方策 |
自由ループ空間のディフェオロジーと微分形式の考察、特に今年度得られた多項式環の生成元に対応する自由ループ空間の微分形式に着目する。またループホモロジー代数全体がどのような代数構造になっているかや、それを記述する幾何学にも着目しながら、研究に取り組んでいく。
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