研究課題/領域番号 |
23K03102
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
阿部 拓 岡山理科大学, 理学部, 講師 (00736499)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2027年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | Peterson多様体 / toric orbifold / コホモロジー環 / 旗多様体 / ヘッセンバーグ多様体 / トーリック多様体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,ヘッセンバーグ多様体とトーリック幾何の繋がりを調べるものである.ヘッセンバーグ多様体は,旗多様体の中に定義される代数的部分集合であり,幾何学と表現論の新たな架け橋として近年活発に研究されている.その中でも,ある特別なクラスのヘッセンバーグ多様体については,特殊なトーリック軌道体と関係があることが近年分かってきた.本研究では,このような現象が起こる幾何学的な背景を解明する.
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研究実績の概要 |
本年度は,華中科技大学の曾昊智氏との共同研究で,Peterson多様体とtoric orbifoldの幾何学的な関係について研究を行った.以下,これについて説明する. 単連結な複素半単純代数群Gから定まるPeterson多様体を考えると,それに付随して(Gのルート系から定まる)あるtoric orbifoldが現れ,これら2つの代数多様体のQ係数のコホモロジー環が同型になるという現象が知られていたが,その幾何学的な背景はよく分かっていなかった(この2つの代数多様体は同型にはならないことが分かっている).本年度の研究により,Peterson多様体から対応するtoric orbifoldへの(代数多様体としての)射を具体的に構成し,この射がQ係数のコホモロジー環の同型を誘導することを証明した.Peterson多様体に関する研究はすでに様々なものがあるが,toric orbifoldとの幾何学的な関係を調べた研究はこれが初めてである. また,Peterson多様体のコホモロジーの環構造は原田-堀口-枡田による明示的な表示が知られており,toric orbifoldのコホモロジーの環構造はJurkiewicz-Danilovによる明示的な表示が知られている.我々が構成した射は,これら2つの具体的な表示を自然に結びつけるものになっている. 元々,Peterson多様体は旗多様体の量子コホモロジー環を幾何学的に実現するためにDale Petersonによって導入された代数多様体であるが,Petersonの理論において量子パラメータの役割を果たす量が我々の射に自然に現れていることも分かった.本研究で調べたtoric orbifoldがPetersonの理論とどのように関係しているのかについては今後の研究課題である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は,正則なヘッセンバーグ多様体とtoric orbifoldの間の幾何学的な関係を明らかにすることであり,Peterson多様体は前者の中の特別なクラスである.このケースについて幾何学的な関係を明確に述べることができるようになったのは大きな進展である.よって,おおむね順調に進展しているといってよい.
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究により,Peterson多様体のケースについてはよく理解できたといってよいので,今後はPeterson多様体とは限らない正則なヘッセンバーグ多様体について,toric orbifoldとの間の幾何学的な関係を調べていきたい.正則なヘッセンバーグ多様体のクラスの中で,Peterson多様体の反対側に位置する「permutohedral variety」のケースについては,対応するtoric orbifoldと(そもそも代数多様体として)同型になっているので,この事実も踏まえながら,一般のケースに望みたい.特に,まずはA型の正則ヘッセンバーグ多様体を調べていきたい.
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